矢野経済研究所では、国内の個人向けオートリース(マイカーリース)市場の調査を実施した。調査期間は2015年6月~8月、調査対象はオートリース会社、車両販売事業者、車両購入者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、車両購入者に対するアンケート調査、ならびに、文献調査を併用した。
この調査における個人向けオートリースとは一般消費者(個人)が希望する自動車(車両)をオートリース会社が購入し、一定期間に一定料金で賃貸するサービスをさす。なお個人向けオートリースの対象車両は新車と中古車とし、市場規模は新車と中古車における販売台数とした。
それによると、2014年の個人向けオートリース販売台数は6万7,238台であった。個人向けオートリースは、従来はオートリース会社による企業内個人向けに販売活動を行う、職域向け販売が中心であった。一方で、オートリース会社が法人向けオートリースに注力していく過程で、個人向けオートリースを取り扱う部門から法人向けオートリース部門への営業人員の配置転換が行われたほか、昨今のビル・建物内への訪問者に対するセキュリティ強化のなかで、職域向け販売には伸び悩みが窺えるとしている。
このような中で、自動車メーカー系ディーラー以外の車両販売事業者が参入することで、個人向けオートリース販売台数は増加傾向にあるという。2015年に入ってから、中古車の個人向けオートリース販売台数は伸び悩んでいるものの、新車販売においては、残価設定クレジットの普及と共に個人向けオートリースの利用者は増加していると見られるとしている。その結果として、個人向けオートリースの新車販売が市場を牽引し、2015年の個人向けオートリース販売台数は12万6,000台と見込んでいる。
また、個人向けオートリースにおける車両販売事業者には自動車メーカー系ディーラー、新車販売事業者、中古車販売事業者のほか、整備専業者、ガソリンスタンド、カー用品店などがある。自動車メーカー系ディーラーは、残価設定型クレジットによる車両販売を軸に据えるものと見られるが、新車・中古車販売店、整備専業者、ガソリンスタンド、カー用品店などの車両販売事業者においては、個人向けオートリース販売店舗が増加するほか、オートリース会社などとの業務提携によって独自の商品展開が進むものと見られるとしている。
一方で、オートリース専業会社の大半は、個人向け販売チャネルが職域向け販売に限られるため、法人向けオートリースを中心とした企業内個人向けの営業活動が継続されるという。しかし、大手のオートリース専業会社は個人向けホームページを開設してインターネット販売に活路を見出すほか、代理店販売や職域向け販売の再強化によって個人向けオートリース販売台数を伸ばすものと見ている。
今後、人口減少に加え、自動車の買替サイクルの長期化に伴って新車販売台数の減少が懸念されているが、これは法人向けのみならず、個人向けの新車販売台数においても同様であるという。2020年に向けて個人向け新車販売台数は落ち込むことが懸念されるものの、個人向けオートリース販売に注力する車両販売店の増加とともに個人向けオートリース認知度の向上、さらには口コミ効果が発揮されていくことで、新車・中古車ともに個人向けオートリース販売台数は堅調に増加していくものとしている。その結果、同社では2020年の個人向けオートリース販売台数は20万3,000 台になると予測している。(編集担当:慶尾六郎)