トヨタ、2020年をめどに自動運転車を実用化

2015年10月10日 21:00

 自動車の「自動運転」が、近年どんどん現実味を帯び始めている。「自動運転」と聞くとつい、SFの世界のできごとのように考えてしまうが、そうではない。「自動運転」の実用化に向けて、各メーカーが開発を続けており、それはもう目の前にまで迫って来ている。そうしたなか、トヨタ自動車<7203>は6日、自動運転ができる市販車を、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年ごろに発売するとの発表を行った。これまでトヨタ自動車は、自動運転技術はあくまで運転支援のためのものという方針を示していたが、今回の発表により、実用化に向けて大きく踏み出すこととなる。

 今回の発表に合わせて、トヨタ自動車は自動運転車の技術を公開。自動運転車には高性能レーダーやカメラ、人工知能などが搭載され、高速道路を他の自動車が走行中であっても自動運転を行うことができる点が大きな特徴となっている。高速道路上で、車線変更や合流、追い越しなども行うことができるという。

 トヨタ自動車は1990年代から自動運転の研究を開始しており、技術力には定評がある。自動運転車に搭載された高性能レーザーやカメラにより、走行中の周囲の状況をリアルタイムで把握。収集されたデータを人工知能が分析し、過去の走行データと照合して合流や車線変更などを行う。

 こうした自動運転車の実用化は、トヨタ自動車以外にも日産自動車<7201>も取り組んでおり、同社は16年に渋滞時の高速道路を、20年には混雑した市街地を走行することのできる自動運転車を投入する方針を示している。また国内メーカー以外にも、ドイツのアウディが17年に渋滞時の高速道路を走行することのできる自動運転車を市販する予定だ。

 自動車メーカー以外にも、米グーグルなどのIT企業も自動運転技術の開発に乗り出しており、大手自動車メーカーのみならず、IT企業も巻き込んだ自動運転車をめぐる競争は、20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてますます激化しそうな気配だ。(編集担当:滝川幸平)