東京商工リサーチは、2015年度上半期(4~9月)の全国企業倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は4,388件 年度上半期としては1990年度以来の低水準となった。
2015年度上半期の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が4,388件、負債総額が9,362億5,700万円だった。倒産件数は、前年同期比13.0%減。年度上半期としては7年連続で減少し、最近ではバブル景気時の1990年度(3,070件)に次ぐ低水準にとどまった。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じていることや、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることも影響したとしている。
一方、負債総額は同3.1%増。年度上半期としては5年ぶりに前年同期を上回った。負債100億円以上が8件(前年同期3件)発生したことが影響した。ただし、全体では2年連続で1兆円を割り込み、低水準にとどまった。負債10億円以上の大型倒産が110件(前年同期比30.3%減)で、年度上半期では1990年度(105件)以来の少ない件数だったという。
また、2015年度上半期の産業別倒産件数は、10産業すべてで前年同期を下回った。飲食業などを含むサービス業他は、1,080件(前年同期比14.4%減)で、年度上半期としては2年ぶりに前年同期を下回った。ただし内訳をみると、エステティック業(15→27件)、通所・短期入所介護事業(7→13件)などで増加が目立った。
建設業は846件(前年同期比17.0%減)で、年度上半期としては1990年度(719件)以来25年ぶりに1,000件を割り込む低水準だった。また、小売業は586件(同9.2%減)、年度上半期としては3年連続で減少した。内訳では酒小売(17→26件)や通信販売・訪問販売小売業(28→32件)で増加し、今後の動向が注目されるとしている。
卸売業は679件(前年同期比7.2%減)で3年連続の減少、製造業が673件(同5.0%減)で6年連続の減少、不動産業は141件(同18.4%減)で2年ぶりに減少した。
地区別では、全国9地区のうち九州を除く8地区で前年同期を下回った。こうしたなか、九州は372件(前年同期比5.0%増)で、年度上半期としては4年ぶりに前年同期を上回った。九州の産業別では、老人福祉・介護事業などを含むサービス業他(77→82件)と建築材料卸売などを含む卸売業(51→68件)で増加が目立ったとしている。
一方、関東1,668件(前年同期比15.8%減)と近畿1,132件(同12.5%減)がともに、6年連続で前年同期を下回った。北陸96件(同31.4%減)と中国179件(同17.8%減)はともに4年連続で減少した。さらに、北海道138件(同8.0%減)と中部が580件(同7.7%減)が、3年連続で前年同期を下回った。また、前年同期には6年ぶりに増加に転じた東北147件(同16.9%減)と四国76件(同28.3%減)は、再び前年同期を下回った。(編集担当:慶尾六郎)