今や世界第2位の経済大国に成長した中国だが、景気減速や商習慣の違いなど「チャイナリスク」も高まっている。東京商工リサーチが、2015年度上半期(4~9月)に「チャイナリスク」を要因として倒産した企業をカウントしたところ、43件だった。前年同期の30件からは13件増え、9月単月でみると、調査開始以来、最多の11件だった。
上半期は、第一中央汽船や江守グループホールディングスなど上場企業をはじめ、負債10億円以上の増加が目立った。そのため、チャイナリスク関連倒産で生じた「負債総額」は2117億2000万円と巨額に。前年同期(80億9200万円)から大幅に増加した。倒産には集計されないが「事業停止」や「破産準備中」など、実質破綻している事業者も9件(前年同期0件)あり、両者を合算したチャイナリスク関連破綻は、上半期52件(前年同期30件)と大幅に増加した。
企業の倒産に最も大きな影響を及ぼしたのは「コスト高」で、全体の76.7%を占めている。中国市場は安価な製造コストと豊富な労働力が魅力だったが、コスト高による倒産の倍増は、中国市場の劇的な変化を伺わせる。ほかには「労使問題、売掛金回収難、中国景気減速」が各1件の増加だった。一方、前年同期に6件発生した「反日問題の発生」はゼロだった。中国と取引する企業にとって、チャイナリスクは「反日感情」というより、人件費などコスト増の問題が大きい。
産業別では「卸売業」が27件で前年同期の11件から大幅に増加。前年同期に発生がなかった「小売業」でも2件、倒産が発生した。一方、「製造業」は14件から11件に減少。これを業種別でみると、製品の輸入や製造委託などで中国と密接な関わりをもつ「繊維・衣服等卸売業」が14件で最も多い。次いで、「その他の卸売業」「機械器具卸売業」「食料品製造業」が各4件ずつ。「なめし革・同製品・毛皮製造業」も3件倒産した。原皮価格の高騰や人件費上昇が影響したとみられる。一方、「金融・保険業」や「不動産業」「情報通信業」の倒産は発生がなかった。現時点では比較的チャイナリスクの影響を受けにくい業種のようだ。(編集担当:北条かや)