欧州自動車工業会(ACEA)が16日、9月の欧州連合(EU)の乗用車の新車販売台数を発表。それによれば新車販売台数は前年同月比9.8%アップの135万6868台で、25ヶ月連続でのプラスとなった。ヨーロッパ南部の経済回復により新車需要が増加し、スペインやイタリアなどの地域が大幅に伸び率をアップさせた。そして排ガス規制不正回避問題が発覚したドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、前年同月比8.3%アップの31万5905台であり、問題の影響は今のところ限定的であると言える。しかし、10月以降に本格的な影響が数値として現れてくるのではないかとみられている。
9月の新車販売台数については伸長したフォルクスワーゲンであったが、伸び率自体は全体の9.8%アップを下回っている。そして域内における9月のシェアは23.3%と、前年同月の23.7%から低下している。さらに欧州以外での販売も失速の傾向がみられており、英国での新車販売台数は3.7%アップと、1~8月の前年同期比9.5%アップよりも鈍化。アメリカでの新車販売台数も前年同月比0.6%アップにとどまった。なお、フォルクスワーゲンは15日、域内で計850万台のディーゼル車をリコール(回収・無償修理)すると発表しており、2016年1月から開始される。対象となる顧客に直接連絡を取り対応する予定だ。
他のメーカーの新車販売台数については、ディーゼル車の比率が高いフランスのプジョー・シトロエングループ(PSA)、フランスのルノーがそれぞれ2位、3位に位置したが、伸び率はともに前年同月比4.9%アップとフォルクスワーゲンの伸び率を下回った。
日本メーカーについては、日産自動車<7201>が前年同月比24.5%アップの6万2136台、トヨタ自動車<7203>が前年同月比10.2%アップの5万9453台、マツダ<7261>が前年同月比29.4%アップの2万5983台と、それぞれ好調に推移し、いずれのメーカーも全体の伸び率を上回った。
排ガス規制不正回避問題により、世界中のドライバーの信頼を失ったフォルクスワーゲン。そのツケが回ってくるのはもう少し先になりそうだが、それは確実にやってくるものであと考えておくべきだろう。(編集担当:滝川幸平)