フリーズドライ食品はどこまで市場を拡大できるのか 増産傾向で今後も競合参入の見通し

2015年10月22日 07:34

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FD食品はコストがかかり高単価であるが品質面が評価され、素材類と成型食品類を合わせると市場規模は1,000億円程度とみられる。そのシェアはまだ食品業界の1%にも満たないが、この市場は着実に拡大しており、そう遠くない将来に1,500億円規模の市場が見えて来そうだ。

 コストがかかり高単価であるが、品質面が評価されフリーズドライ食品の市場は拡大を続けている。成熟市場が多い日本の食品関連産業のなかでは、技術の応用が可能な食品が多く、食品メーカー、機械メーカーなどからの新規参入も多い。この市場は一体どこまで成長するのか。その現状と将来性を探ってみる。

 フリーズドライ(以下・FD)とは、真空凍結乾燥技術のことで、FD技術によって多様な食品を乾燥状態にすることができるようになった。こうした日本のFD技術は海外でも評価が高い。
 
 FD食品は、日本ジフィ食品が1960年、真空凍結乾燥機を導入して日本で初めて製造を始めた。日清食品<2897>が71年に「カップヌードル」を発売開始し、カップ?のブームが沸き起こると、大きく需要を伸ばす。73年には、FD食品のメーカーが集まって日本凍結乾燥食品工業会が発足。

 円高のため、平成に入った頃から国内での生産量は低迷したが、その後、需要を回復する新たな商品が登場した。それがFDみそ汁に代表される成型食品だ。そのパイオニアは天野実業で、すでに83年からFDみそ汁の発売を開始していた。また、協和発酵工業(現MCエフディフーズ)が87年から「本格派たまごスープ」を発売した。

 FD食品は、ラーメンのかやくなどに使われる「素材類」と、FDみそ汁に代表される「成型食品類」に大別でき、素材類のみで94年には700億円程度の市場規模があったが、工場の海外移転などによって2014年は350億円程度と言われている。

 一方、 成型食品の市場規模は明らかにされていないが、14年は会員企業14社の合計でおよそ550億円、非会員企業を含めて650億円はあるのではないかと言われる。素材類と成型食品類を合わせると現在の市場規模は1,000億円程度とみられる。近年はOEM生産を含め成型食品への新規参入が目立っており、この分野を中心に一層の市場拡大が予想される。
 
 なお、天野実業は東京と地元福山にそれぞれアンテナショップを開設しており、FD食品への追求姿勢は徹底的だ。

 業界動向サーチによると、13~14年の食品業界の規模(主要対象企業126社の売上高合計)は18兆388億円で近年、若干の増加傾向となっている。FD食品のシェアはまだ業界の1%にも満たないが、この市場は着実に拡大しており、そう遠くない将来に1,500億円規模の市場が見えて来そうな気配である。(編集担当:久保田雄城)