【今週の振返り】好決算と追加緩和の予感に心躍り533円上昇の週

2015年10月24日 20:36

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4~9月期決算は思ったよりも良さそう。日米欧の追加緩和の足音も近づいてきた。そんなマインドの改善が、しつこかった上海との「中日連動」を終わらせた。

 上海の午前の取引は小幅安で終了。後場の日経平均は前引け水準で再開するが、午後0時台は18160円付近まで下落する。それでも安値更新はしない。1時台は反発して18200円を上回り、2時を回った時点で18240円をオーバーするものの高値更新とはいかない。9月の全国百貨店売上高が発表され、既存店ベースでは+1.8%増で6カ月連続で前年同月実績を上回った。9月のコンビニエンスストア既存店売上高は+1.3%増で6カ月連続増収。上海市場は小幅プラスで午後の取引が再開するが、直後からマイナスに沈む。それでも日本時間で2時30分頃から上昇してプラスに浮上。日経平均もそれをなぞって18200円をいったん割り込んでから終盤再び上昇する。大引け前には18200円を割り込みそうになるものの75円高の18207円と反発した。この日の日中値幅は106円と小さかった。TOPIXは結局1500に届かず。上海総合指数は1.14%のプラスで終えた。

 日経平均終値は75.92円高の18207.15円。騰落が3ケタではなかったのは10月2日以来。TOPIX終値は+4.53の1499.28。来週の日米の中央銀行イベント待ちなのか、2週間後の11月4日に迫った郵政3社の上場待ちなのか、それとも4~9月期決算発表待ちなのか、売買高は17億株で8月17日以来2ヵ月ぶりに18億株を下回り、売買代金は1兆8235億円で4月6日以来の薄商いだった。小型株、新興市場では直近で高騰した銘柄の換金売りが目立つ。株式指数はプラスでも値上がり銘柄数688よりも値下がり銘柄数1070のほうが多い。プラスは18業種で、上位は情報・通信、銀行、海運、保険、繊維、水産・農林など。マイナスは15業種で、下位は不動産、電気・ガス、建設、石油・石炭、非鉄金属、空運などだった。

 21日の日経平均は大幅続伸。NYダウは13ドル安でNASDAQ、S&P500とともに4日ぶりに反落。ヨーロッパ市場は軒並み安。9月の住宅着工件数は+6.5%と6月以来の高水準で市場予測を上回った。住宅ローン金利の低下が追い風だが、先行指数の住宅着工許可件数は-5%とブレーキがかかって市場予測を下回った。前日取引終了後発表のIBMの決算は減収増益だがEPSが市場予測を下回り、通期のEPS見通しを下方修正したためこの日のNYダウの足を引っ張る。通信大手ベライゾンの決算が増収増益でユナイテッド・テクノロジーとともにEPSが市場予測を上回ってもカバーできなかった。ロイターはS&P採用500銘柄全体で7~9月期の利益が前年比で3.9%下落すると予測している。長期金利は上昇、原油先物は続落、金先物は3日ぶりに反発。為替のドル円は119円台後半、ユーロ円は136円近辺。CME先物清算値は18210円。

 カナダの総選挙の結果は保守党から自由党に政権交代。次期首相の43歳のジャスティン・トルドー氏は60~80年代に何度も首相を務めたピエール・トルドー氏の息子。主要銘柄のトップを切り4~9月期決算を発表した安川電機<6506>は最終利益3%増で中間期として過去最高だったが、中国の景気減速懸念で通期売上高見通しを150億円下方修正し、決算発表シーズンは不安な滑り出し。傾いたマンション問題で旭化成<3407>の浅野社長が記者会見し、お詫びした上で調査・補修の費用を全て負担すると表明した。

 TPPの全品目の予定関税率が明らかになり、影響は予想外に大きくなりそうな気配。取引時間前に発表された9月の貿易統計は1145億円の赤字で、赤字は6ヵ月連続。8月の5600億円から赤字幅は大きく圧縮されたが、市場予測の1000億円の黒字までの改善はなかった。日経平均は39円安の18167円で始まる。TOPIXも小幅マイナスでスタート。しかしマイナスは数分だけで、日経平均は寄り安で18200円台、TOPIXは1500台をすぐ回復して序盤さらに上昇していく。午前9時台のうちに前日比150円以上高い18300円台後半まで到達。10時22分に18387円の高値をつける。貿易赤字の発表を受けてドル円が円安に振れ、120円に接近したのが効いている。上海市場はほぼ前日終値水準で始まるが「桂林の山」のようにマイナスにプラスに激しくアップダウンする乱高下。しかしこの日の日経平均は全く「中日連動」せず、ナギの海面のような安定した値動きで18300円台を維持する。前日に決算を発表した安川電機も東京製鐵<5423>も、旭化成もプラス。不思議な〃平常心〃を保ったまま前引けは148円高の18355円。TOPIXも1510付近の水準で安定していた。

 上海市場は乱高下がおさまらないが午前の取引をプラスで終了。後場の日経平均はこの日の高値圏で再開する。18400円をあっさり突破して午後0時32分に18413円まで上昇する。1時台の途中まで18400円をはさんで小動きの高値安定の時間帯が続くという、夏の終わりの混乱以来、久しく見なかったパターン。1時台後半には再び上昇し驚異の1343円高だった9月9日以来の18500円台に乗せる。それを後押ししたのが為替レートで、ドル円は120円にタッチしていた。

 2時に9月の全国スーパー売上高が発表され、既存店ベースは+2.9%で6ヵ月連続前年比プラス。消費増税から1年半が経過し、反動減の影響を脱しつつある。上海市場の午後の取引が再開するとプラスからマイナスに下落していくものの、日経平均はどこ吹く風の18500円台後半の高値安定。後場も「中日連動」から解放され、中国経済への不安で株価がずっと低迷していた「御三家」のファナック<6954>が+3.5%を超える大幅上昇をみせるあたり、前日までと「何かが違う」と思わせる。2時台後半になるとさらに高値を更新して18600円、上昇幅400円に接近する。2時43分、ついに突破して18605円。それも大幅棒上げの9月9日以来1ヵ月半ぶりのこと。上海はズルズル下げて-3%を割り込むが、東京市場は「もうあなたとは他人の関係」か? 終盤は18600円を軸にもみあった末に50円ほど下押しされるが、それでも347円高の18554円と大幅続伸した。TOPIXは日中、1530に迫っていた。前日まで仲良く連動していた東京市場との腐れ縁に突然の別れが訪れた上海総合指数は、哀しみの3.05%下落で終えた。