国内ITアウトソーシング市場は18年度までのCAGRが0.7%で推移 市場規模は3兆9,509 億円に

2015年09月24日 09:43

 国内ITアウトソーシング市場は2013年度から2018年度までの年平均成長率(CAGR)が 0.7%で推移し、2018年度の市場規模は3兆9,509 億円に成長するという。矢野経済研究所では、国内の IT アウトソーシングサービス市場の調査を実施した。調査期間は2015年4月~8月、調査対象はコンピューターメーカー、システムインテグレーター(SIer)、データセンター専業者などの IT アウトソーシングサービス提供事業者。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・E メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2014年度の国内のITアウトソーシングサービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比100.5%の3兆8,350億円であった。2013年度から2018年度までのCAGRは 0.7%で推移し、2018年度の同市場規模は、3兆9,509億円(事業者売上高ベース)になると予測した。

 データセンター関連サービスの利用が進んでいる理由としては、以下の 7 つの要因が挙げられるという。(1)2011年の東日本大震災以降、事業継続対策を目的として、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定し、堅牢なデータセンターを利用するユーザー企業が増加していること。(2)多様なアプリケーションや画像・映像データの使用機会が増加したことで、ユーザー企業が抱えるデータ量が年々増加している。そのため、台数が増加したサーバーをデータセンターに預ける企業が増加していること。(3)企業経営に対する各種法規制の強化に伴い、企業に求められる情報管理の重要性が高まっていること。それに対応して、セキュリティレベルと事業継続性の向上を目的とするとともに、複雑化したシステムマネジメントをSIer などのデータセンター事業者に任せるユーザー企業が増加していること。

 (4)経営の効率化を目的として、間接部門である情報システム部門の要員の削減を進めてきたユーザー企業であるが、セキュリティ対応や事業継続対応など業務はむしろ拡大傾向にある。そのため、多くのユーザー企業の情報システム部門は外部のリソースに頼らざる得ない状況に陥っており、データセンターを活用した IT アウトソーシングサービスの利用が進んでいること。(5)ネットワーク経由の IT サービスであるクラウドコンピューティングの概念が普及したことで、ユーザー企業の意識が「所有」から「利用」へと変化していることも、外部のデータセンターを利用する企業を増加させていること。

 (6)ビックデータの活用が多方面で進んでおり、「データの集積」「あらゆるデータとの接続」「データの高速処理」が必要になっているため、データセンターが活用されるケースが増加していること。(7)企業にも環境対策として省電力化が求められるようになってきており、電力料金の高騰の影響もあり、データセンターにサーバーを集約し、省電力化を図るユーザー企業が増加していること。

 また、オンサイト運用保守サービスは、クラウドコンピューティングの普及やデータセンター利用の進展により、オンサイトにサーバーを設置しないユーザー企業が増加しているため、利用が減少しているという。(編集担当:慶尾六郎)