IT専門調査会社 IDC Japanは、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)およびビジネスコンサルティングから構成される「国内ビジネスサービス市場」予測を発表した。これによると2015年の同市場規模は前年比5.5%増の1兆46億円と初めて1兆円を超え、5年連続のプラス成長になる見込み。
この内、経営戦略策定や業務改善/変革、組織/人事改革といった分野で提供される国内ビジネスコンサルティング市場の2015年の支出額は、前年比8.1%増の3,373億円と大幅に成長する見込みだという。第3のプラットフォーム(ビッグデータ/アナリティクスやクラウド、モビリティ、ソーシャル技術)を前提とする新たなビジネスの開発やイノベーションの創出といった、「デジタル変革」に向けたビジネスコンサルティングサービスへの需要が高まっており、大手事業者を中心にこれに対応する人材(コンサルタント)を積極的に拡大していることが背景だ。
人事、カスタマーケア(コンタクトセンター)、財務/経理、調達/購買の4分野で構成される国内BPOサービス市場の2015年の支出額は、4分野全てでプラス成長を遂げ、前年比4.3%増の6,674億円になると予測している。2014年までに続き、好調な企業業績を背景に大企業における中期的な体質改善に向けた間接業務の効率化需要が継続していることに加え、中堅企業における利用も拡大しつつある。
ただし、IDCが2015年4月に実施したユーザー調査結果によると、国内市場ではカスタマーケア以外の間接業務BPOについては、各業務とも堅調に上昇してはいるものの、利用率は10~15%程度と依然として低い水準にあるという。特に、従来型業務プロセスの見直しを進める「変革型」BPOを行う企業は一部の先進的企業にとどまっているとIDCではみている。
両市場を合計した国内ビジネスサービス市場は、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.2%で、活発な需要を背景にプラス成長を継続し、2019年には1兆1,668億円に達するとIDCでは予測している。IDC Japan ITサービス マーケットアナリストの植村卓弥氏は「ビジネスコンサルティング事業者は、企業のデジタル変革支援に対し、より具体的なオファリングを通じ支援策を示すことが重要になる。BPOサービス事業者は、デリバリーモデルの見直し/効率化を進めつつ、先進企業から一般企業へと変革型BPOの啓発を進めていくことに注力するべきである」とコメントしている。(編集担当:慶尾六郎)