600超の機関投資家が活用するCDPの環境意識調査で、日本企業3社がA評価

2015年11月07日 20:23

画・日本発ウルトラファインバブルの可能性と課題

ロンドンに本部を置く国際非政府組織(NGO)のCDP(旧カーボンディスクロージャープロジェクト)は10月22日、世界の大企業405社に対して行った水資源保全への取り組み調査をまとめ、発表した

 環境に対する消費者意識は年々、活発化しており、企業や自治体、国にも大きな影響を与えるようになっている。消費者庁の調べでも、9割以上の国民が循環型社会への移行を求めている事がわかった。

 東日本大震災の発生以来、日本ではとくに太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用等に関心が集まっているが、世界的にみると、「環境問題」と一口にいっても様々なものがあることがわかる。その中でもとくに深刻なものが「水資源」に関するものだ。

 幸いにも日本は水には恵まれた国だが、世界的な水資源不足の改善は、現在、最も重要な環境課題の一つと考えられている。スイスのジュネーブに本拠を置く非営利財団「世界経済フォーラム」が発行した「グローバルリスクレポート」の2014年版でも、「水の危機」が、「気候変動」や「食糧危機」よりも深刻な問題として挙げられているほどだ。地球温暖化にともなう気候変動の影響による干ばつや洪水だけでなく、人口増加、急激な経済成長、地方の都市化など人的原因による、飲料水、農業用水の不足、水質の悪化なども年々拡大しており、予断を許さない状況となっている。

 そんな中、英・ロンドンに本部を置く国際非政府組織(NGO)のCDP(旧カーボンディスクロージャープロジェクト)は10月22日、世界の大企業405社に対して行った水資源保全への取り組み調査をまとめ、発表した。CDPはこれまでにも企業の環境意識を調査しており、その採点結果は、気候変動問題への取り組みの評価では世界標準と位置付けされ、600を超える機関投資家に活用されているほど信頼がある。水資源の関わる調査「CDPウォーター」は2010年から開始されているが、評価結果の発表は今回が初めてだ。

 同調査によると、操業に影響を及ぼすような「水リスク」にさらされている企業が62%に上っただけでなく、回答を得てCDPが分析した全世界405社のうち、A評価を得たのは米フォードモーターなど、わずか8社に留まった。この結果をみると、水資源に対する環境意識の啓発の必要性を感じずにはいられない。

 ただ、そのA評価を受けた8社の中に、トヨタ自動車<7203>、アサヒグループホールディングス(HD)<2502>、ローム<6963>の、日本企業が3社も選ばれていることは、大変誇らしいことではないだろうか。他国に比べて水資源が豊富な国だからこそ、水を大切にし、水とともに繁栄する未来を目指す、世界の模範的な企業や国であるべきだ。次回の調査では、A評価を受ける日系企業がさらに増えることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)