20日にベルシステム24HD<6183>が東証1部に新規上場する。コールセンター業務、治験支援業務などを手がけている。前身のベルシステム24は1994年に店頭登録銘柄に登録され、1997年に東証2部に上場。1999年に東証1部に指定替えになり2005年まで上場していたので、事実上の再上場。かつての上場時はCSK(現・SCSK<9719>)グループだったが、現状はベインキャピタル、伊藤忠商事<8001>両社の持株比率が97.8%を占める。公開価格は1555円で公募仮条件(1500~1750円)の下限に近く、公募、売出合計で3737万株もある大型IPOで抽選に当たりやすいため、郵政3社のようなセカンダリー市場の盛り上がりは期待薄。コールセンター業界の成長性も21年前ならともかく現在では疑問符がつくので、初値が公開価格を下回る黒星になる可能性がある。
海外の経済指標は、18日のドイツのZEW景況感指数、アメリカの鉱工業生産指数が重要。利上げを論議したFOMC議事録も注目。APECの閣僚会議、首脳会議、ASEAN首脳会議、東アジアサミットと国際会議も多い。
16日はアメリカの11月のNY連銀製造業景気指数、17日はドイツの11月のZEW景況感指数、アメリカの10月の消費者物価指数(CPI)、鉱工業生産指数、設備稼働率、11月のNAHB住宅市場指数、9月の対米証券投資、18日は中国の10月の主要70都市の新築住宅価格、アメリカの10月の住宅着工件数、19日はアメリカの10月のCB景気先行総合指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、10月の北米半導体製造装置BBレシオが、それぞれ発表される。
16~17日にフィリピンの首都マニラでAPEC閣僚会議が開かれる。17日にインドネシアが政策金利を発表する。17~29日に「ロサンゼルス国際自動車ショー」が開催される。18~19日にマニラでAPEC首脳会議が開かれる。安倍首相もトルコのG20サミットに出席したその足で出席する予定。18~22日にマレーシアの首都クアラルンプールでASEAN関連首脳会議が開かれる。安倍首相も出席する予定。18日に10月27、28日に開催されたFOMCの議事録が公表される。20日に10月22日に開催されたECB理事会の議事要旨が発表される。22日にクアラルンプールで東アジアサミット(EAS)が開かれる。安倍首相も出席する予定。
アメリカ主要企業の決算は小売業の8~10月期決算たけなわ。16日にアーバンアウトフィッターズ、17日にウォルマート・ストアーズ、ホーム・デポ、TJX、18日にロウズ・カンパニーズ、ターゲット、セールスフォース・ドットコム、19日にギャップ、20日にアバークロンビーアンドフィッチ、フットロッカーが発表する予定。
今週の19日に日銀会合の結果が発表されるが、毎年恒例の「ボージョレー・ヌーボー」解禁日のお祭り騒ぎの日でもある。このワインはかつては、リヨンの安酒場でやさぐれた男たちが、地元のサッカーチームの敗戦をボヤき、監督や選手をクサしながらあおるような安酒だったという。それが誰の仕掛けなのか日本では高級ブランドに化け、11月の解禁日は一大イベントと化し、まるで田舎娘が貴婦人と化したかのような大変身を遂げた。「驚安の殿堂」ドンキホーテHD<7532>が税別679円の国内最安値でその〃貴族化〃に挑戦して話題になっているなど、日本では今や、同じブルゴーニュ地方の最高級ワイン「ロマネ・コンティ」よりも有名になってしまった。その結果、ボージョレー地区だけでなく日仏のワイン業界とその周辺に、大きな経済効果をもたらしている。
ワインの味の特徴やAOCの格付けのような実用的価値を超越し、メディアで繰り返される言及、著名人の関与、解禁日のイベント性などを通じて「ボージョレー・ヌーボー」なるブランドの「記号」それ自体が消費社会の中で大きな価値を生み、交換されていく。それはまさに、『消費社会の神話と構造』という著作の中でフランスの哲学者ジャン・ボードリヤールが述べている概念「記号消費」そのものだ。おそらく、それを最も理解しやすくなる格好のモデルケースだろう。
だが、市場関係者はそれを他人事として笑えない。株式市場ほど「記号消費」的な現象が大手を振って歩いている世界は、他にあまりないからだ。株価の実用的価値との乖離はファッションのブランド物を優に超える。たとえば東証全銘柄の中でPBR(株価純資産倍率)10倍以上、つまり「解散価値」という名の実用的価値の10倍以上の株価がついた銘柄は60ぐらいある。PBR2倍以上の銘柄はそれこそ星の数ほど。「ボージョレー・ヌーボー」のようになっている銘柄は、枚挙にいとまがない。
「株券不発行」で実物はすでにこの世になく、文字通りの「記号」に価格がつき電脳世界の中で超々高速で交換される。価格の予測には高等数学も使うが、心理学を応用した「行動ファイナンス」理論も使えば、江戸時代に考案されたローソク足も現役で、そのパターンを仏像にたとえたりするポストモダンぶり。