【今週の展望】海外投資家が望めば2万円回復の戦いは終わる

2015年11月15日 20:31

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日経平均が2万円台を回復すれば、「チャイナパニック」は3ヵ月で収束し、アメリカの12月利上げへスタンバイOK。だから2万円の回復は「世界の総意」

 先進国市場でひとり、上値を抑えられ回復がぐずぐず遅れていた東京市場が8月20日までの「日経平均2万円ワールド」に戻るということは、人民元の切り下げ、上海市場の暴落に端を発する8月下旬からの「チャイナパニック」を全世界が克服し、3ヵ月で収束させることを意味する。「パラダイム・シフト」らしきものは恒常化せず「プチ」で終わる。それは「アメリカの12月の利上げへ、世界のマーケットはスタンバイOK」ということ。「QE4」という時計の針を逆回転させるような妄想も振り払って、フェーズを一つ先へ進めることができる。言ってみれば、日経平均の2万円回復は「世界の総意」なのである。海外の機関投資家が今週、日経平均を2万円まで胴上げしてくれたとしても、不思議なことは何もない。

 それは19日の日銀会合の結果を問わないだろう。「本格追加緩和」はもちろん、ETF買入枠拡大程度の「プチ緩和」でも2万円は楽々突破できそうだが、大方の予想通り「金融政策現状維持」だとしても、今週の上値は2万円に置いておきたい。

 一方、下値は7営業日連続陽線の買い意欲満々を引き継いで底堅い。前週は終値で19700円を突破できなかったが、安値は19389円、19457円、19602円、19597円、19388円で、19400円付近と19600円付近にサポートラインが形成されていた。その低いほうの19400円は、19360円のボリンジャーバンドの25日線+1σとほぼ重なり、すぐ下に200日移動平均線(19311円)があるので、今週も有効と思われる。13日のCME先物清算値もその近辺だった。11月のSQ値は19496円だったが、マイナーSQで「まぼろしのSQ」にもならなかったので、下値サポートの効果は割り引いて考えたほうがよさそうだ。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは19400~20000円とみる。3ヵ月で2万円台を回復できれば、「あんな時期もあったね」と、笑って話せる日がくる。

 4~9月期の決算発表シーズンが終わった。時価会計、減損会計が導入され、さらにキャッシュフローを重視する国際会計基準(IFRS)の影響もあるのか、全般的にみてマーケットは、従業員や固定資産が少なくても新しいビジネスを手がける〃若い企業〃を好感する。一方で古い業界、社歴の長い企業、レガシー資産を保有する企業への評価は相対的に低くなる傾向がある。だが、一面的な見方は銘柄を選別する目を曇らせる。創業が古くレガシー資産を持っていること、従業員の平均年齢が高いことが陰に陽に競争力の源泉に変わることもあり、海外の投資ファンドの中には、そんな成熟企業を好む〃夕暮れ族〃のような「バイアウトファンド」もある。「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい」(カズオ・イシグロ『日の名残り』土屋政雄訳)(編集担当:寺尾淳)