野田前総理、法人税減税に疑問投げかける

2015年12月01日 07:12

 野田佳彦前総理は政府が来年度に前倒しで法人実効税率を20%台まで引き下げる方針で財源探しをしていることに「強い疑問をもっている」と提起した。

 野田前総理は「企業収益は過去最高の水準にある。法人企業統計調査では2012年度と14年度を比較すると、経常利益は16.1兆円も増加している。しかし、この間、設備投資には5.1兆円しか振り向けられていない。従業員給与・賞与にいたっては僅か0.3兆円しか伸びていない」と指摘。

 野田前総理は「企業の手元資金の増加が続いている。企業が稼いだ利益の積み重ねである内部留保は、2014年度は前々年度から約49.9兆円増の3543兆3774億円となり、過去最高を記録した。企業収益は好調だが、設備投資や賃上げに回らず、経済の好循環を阻んでいるということ。この上に法人税を減税しても、更に内部留保が溜まるだけではないか」と疑問視。

 野田前総理は「財政が厳しい時に法人税引き下げが検討されるのは、法人税パラドックスに期待があるからでしょう。これは法人税率を引き下げても、景気が良くなり法人税収はむしろ増加するという現象。かつて、欧州等で観察されたことがあるが、日本では法人税率を引き下げると税収は減り、パラドックスは実現したことがない。税収は減り、内部留保が積み上がるだけの法人税減税なら意味がない」と警鐘をならす。(編集担当:森高龍二)