ソフトバンク<9984>の「Pepper(ペッパー)」の優れた機能からもわかる通り、近年の人工知能やロボットの発展には目を見張るものがある。このままいけば、やがてこれまで人間が担っていた作業のほとんどを、人工知能を搭載したロボットが担うようになるのではないかと、期待と危惧が混在した思いを抱いてしまう。そうしたなか、野村総合研究所が興味深い発表を行った。同研究所は2日、今、日本で働いている人の49%の仕事が、10~20年以内に人工知能やロボットで代替可能になるという研究結果を発表した。代替可能であるとされている具体的な職業は、IC生産オペレーター、一般事務員、CADオペレーター、建設作業員、タクシー運転者、宅配便配達員などで、これらの職業に就いている人の合計は約2500万人にのぼり、今、日本で働いている人の49%にあたるとのこと。
この研究は、イギリスのオックスフォード大学の研究者らと共同で行われた。国内601種類の職業を対象に、人工知能やロボットなどで代替される確率を試算したもので、NRI未来創発センターが「“2030年”から日本を考える、“今” から2030年の日本に備える」をテーマにとした研究活動の1つ。このまま人口が減少し続ければ、将来十分な労働力の確保は困難になると予測される日本において、人工知能やロボットなどを活用して労働力を保管した場合の社会的影響について研究している。
代替可能であるとされている職業は上記の通りだが、反対に代替できる確率が低いとされている職業は、アートディレクター、アナウンサー、映画監督、経営コンサルタント、産婦人科医、歯科医師、マンガ家、ミュージシャンなどで、創造性や協調性が必要な業務や、非定型な業務は将来においても代替できる確率が低いのではないかとしている。
そのほか、アメリカでは働いている人の47%の仕事が、イギリスでは35%の仕事が人工知能やロボットで代替可能としており、これらの国々より日本の率が高い理由については、ホワイトカラーの労働生産性が低く、人工知能やロボットで代替できる仕事をしている人が多いからではないかとの分析を行っている。(編集担当:滝川幸平)