データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会は、2014年(1月~12月)統計のデータ復旧協会の市場規模を発表した。
調査の結果、2014年(1月~12月)における業界全体のHDDの復旧依頼件数は、前年比8,000台増(サーバー案件の4,500台含む)の万81,000台、復旧台数は前年比6,400台増の6万4,800台と推定した。これは、PC出荷台数の世界的な低迷の中、スマートフォン・タブレット等の普及による、NASなどのバックアップ用ストレージ(外部記憶装置)の増加が反映し、微増となったものと考えられるとした。
世界的なパソコン出荷台数の激減とともに、スマートフォン、タブレット端末の爆発的な普及という状況を踏まえ、データを保存する媒体や周辺機器に大きな変化が訪れたこともあり、この業界にも少なからずその影響が表れつつあるという。例として、PCやスマートフォン・タブレット端末、および家電品との情報を共有するためにNAS(Network Attached Storage)などのバックアップ用ストレージが一般家庭にも普及してきたことで、従来、法人中心のビジネス需要を主体としたデータ消失トラブルが圧倒的だったNASへの復旧依頼内容が、近年個人需要も含めて多様化し、増加してきたことなどが挙げられるとしている。
技術的な観点から言えば、SSDのデータ復旧は困難なもので、現実的とは言えないという。近年、SSDに使われるNAND型フラッシュメモリ製造における集積技術は飛躍的に発展し、大容量化を成し遂げた。しかし、NAND型フラッシュメモリは消耗軽減を記録制御で行なうことから、コントローラの記録アルゴリズムも複雑化しているという。
このアルゴリズムはメーカーの技術情報として厳重に保護され、開示されることがないため、データ復旧の手掛かりとなる技術情報が常に不足した状態となる。このため、これらのメモリストレージに対して行われる解析は手作業に等しく、多大な時間と工数を投資しても、データが復旧できる可能性は極めて低いのが現状だとしている。このような状況もあり、SSDなどの半導体ストレージを実装したコンピュータを利用の方々には、協会として定期的なバックアップを行なうことを強く奨めている。(編集担当:慶尾六郎)