不正会計問題で世間を騒がせ続けている東芝<6502>に対して、過去最高となる課徴金の納付が命じられる運びとなった。証券取引等監視委員会は7日、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、金融商品取引法に基づき、東芝に対して73億7350万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。この73億円という課徴金は2008年に造船重機大手のIHI<7013>に対して命じられた約16億円を4倍以上上回り、過去最高の金額となる。
東芝の不正会計問題は今年2月に、証券取引等監視委員会の調査により発覚した。そして同社は9月に、過去7年間の決算で税引き前の利益を合わせて2248億円かさ上げしていたとして、決算内容の修正を行った。証券取引等監視委員会は不正会計の経緯などを調査していたが、10年、13年に同社が発行した計3200億円の社債に関する届け出も、かさ上げした決算に基づくものとし、虚偽記載の対象となると判断した。そして、同社が業績を実体よりも水増しした決算を公表しながら社債を発行し、市場で多額の資金を調達していたことを重くみて、金融庁に73億7350万円という過去最高となる課徴金の納付を命じるように金融庁に勧告した。
東芝は9月の決算訂正の際、独自に課徴金の額を84億円と試算し、その支払いに備えて引当金を15年3月期決算に計上していた。実際の課徴金は、同社が試算したものよりも10億円ほど少なかった。
そして東芝は同日、証券取引等監視委員会が金融庁に勧告した課徴金の支払いについて、受け入れる方針を示した。さらに、この課徴金を踏まえた上で、同社が11月に田中前社長ら旧経営陣5人に対して起こしている計3億円の損害賠償請求訴訟の額を増額することも明らかにした。東芝の不正会計問題では、株価の下落により多大な損害を受けたとして、7日に個人株主50人が東芝と旧経営陣5人に対して、計約3億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。
そろそろ今年も終わろうとしているが、この不正会計問題が東芝におよぼす影響が終結するのは、まだまだ時間がかかりそうだ。(編集担当:滝川幸平)