IT専門調査会社 IDC Japanは、国内金融分野のタブレットソリューション市場について、2019年までの予測を発表した。これによると、2015年の金融向けタブレット出荷台数は、約14万台、2019年には30万台を超えると予測している。また、金融向けタブレットの出荷台数の2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、23.0%と予測している。一方、2015年の金融業のタブレットソリューション市場の売上額を1,734億円、2014年~2019年のCAGRは13.2%、2019年には3,142億円に拡大するとみている。
金融分野では、Finance(金融)とTechnology(IT)を合わせた技術革新を、FinTechと呼び、新たな取り組みとして近年注目を集めている。身近な例では、モバイルアプリケーションを利用したバンキングサービスなどがFinTechに該当する。モバイルバンキングは、ユーザーの利便性を向上させるとともに、時間、場所を問わず銀行業務が行えることから、従来の店舗営業のあり方について見直しを迫り、銀行業務に大きな変革をもたらすことが考えられるという。
このように第3のプラットフォームの4本の柱の1つであるモバイルは、金融業に大きな影響を与えようとしている。また金融業の企業向けに行った調査では、銀行業、保険業、証券/その他で「タブレットは必要ない」との回答は非常に少なく、平均すると全体の3.0%となる。残りは「導入済」あるいは「導入したい」と肯定的な回答が占めた。金融業では、社外だけでなく、社内向けのタブレットの導入についても肯定的な意見が多いことがわかった。また、金融業の中でも銀行業は、BYOD(Bring Your Own Device)の採用が低く、保険業と証券/その他と異なることがわかったとしている。
IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション リサーチマネジャーの片 雅弘氏は「FinTechが新しい金融サービスを創出し近年注目を集めている。FinTechによってまず、顧客向けモバイルソリューションが展開され、開発、運営等の知見を生かし、社内向けにタブレットを導入している。他の産業分野と比べ、金融業はタブレットソリューションを最も熟知した産業分野の1つである」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)