名車概論/英国ライトウエイトスポーツの一方の雄、イタリア人がデザインしたトライアンフ

2015年12月19日 13:22

Triumph TR4

若き頃のイタリア人デザイナー、ミケロッティが手がけ、TR3からボディデザインを一新して登場した、トライアンフTR4

 英国のMGと並んでライトウエイトスポーツを代表するスポーツカーブランド、トライアンフが1953年から1981年まで生産したスポーツモデルシリーズがTR(Triumph Roadster)。トライアンフTRは、トライアンフが1953年から1981年まで生産したスポーツカーのシリーズ名だ。

 TRとは“Triumph Roadstar”の頭文字で、最初のTR1はプロトタイプに終わり、生産型はTR2からTR8までとなる。写真のTR4は1961年から1965年まで製造されたモデルで、トライアンフとしては比較的量産されたロードスターである。エクステリアデザインは、イタリア人の若きデザイナーであるジョバンニ・ミケロッティが手がけ、TR3からボディデザインを一新して登場した。当初、TR4は100?の2138㏄エンジンを積み、4万0253台を生産。同時期に発売された、ここで掲載するTR4Aは104?に出力を高めたエンジンを積み、2万8456台が生産されたといわれている

 エクステリアデザインは、TR3までの特徴だった寄り目のヘッドライトは受け継いだものの、完全に新しいボディで登場した。しかし、ホイールベースはTR1-3と同じ2240mmのままであり、トレッドが100mmも拡大された。ステアリングギアがラック・ピニオン式に変更。4段ギアボックスがフルシンクロ化されるなどの改良を受けている。

 ただし、シャシーは基本的にはTR3と同じラダーフレーム型を踏襲。エンジンは冒頭で記したように2138ccに拡大。出力は100psのままであったが、トルク特性が向上しドライバビリティが向上したという。ただ、日本へは従来の1991ccエンジン搭載モデルが輸入され、5ナンバー登録された。

 巻き上げ式のサイドウインドウの装備など居住性は向上したものの、TR4はスマートな外観とは裏腹にTR3Aの旧式な操縦性・乗り心地を受け継いでおり、1962年に登場したライバルのMG・Bなどに比べて見劣りするとの評価も多い。

 外観上はフロントグリルが変更され、サイドモールが追加となった程度の変更であったが、後輪サスペンションがセミトレーリングアーム式独立となり、ロードホールディングと乗り心地が大幅に改善された。また、ダッシュボードは木目張りに改められた。車両重量は1015kgに達し、2138ccエンジンは104馬力に強化されたものの、性能はTR4と同等かやや低下していた。

 また、ラジアルタイヤが標準装備となったのも、この新型からだった。なお、価格上昇を嫌ったアメリカ市場にはリジッドアクスル(固定軸)仕様が輸出された。トランクリッドの「IRS」バッジの有無で識別できる。TR4Aは2万8465台が生産され、そのうち2万5390台が英国外に輸出された。(編集担当:吉田恒)