東京・港区、お台場のホテルインターコンチネンタル東京ベイは大晦日から新年3日までのお正月期間をホテルで過ごすプラン、「お正月宿泊プラン」を発表した。
このプランでは客室タイプや宿泊日数によって料金設定が異なり、2泊3日プランでは17万円から、3泊4日プランでは21万円から用意がある。
正月ならではのおせち料理と年越しそば、ご来光観賞や初詣クルーズなどのサービスもすべてのプランに盛り込まれており、10万円以上という高額料金にも関わらず一部プランはすでに完売している状況だ。
正月連休は帰省して家でおせち料理を作り、家族と新年を迎えるという昔ながらの新年の迎え方に変化が現れた兆しとも見ることができる最近のホテルの正月サービスは、高級ホテルから一般的なシティホテルまで様々な値段設定でプラン販売されている。
今年開業125年を迎えた老舗の帝国ホテル<9708>の正月プランはディナーショーなどのエンターテインメントを充実させており、一般利用者は11万5000円(基本プラン)から利用できる。同じく高額な正月プランを提供しているホテルオークラでも11万1000円から用意がある。
上記のような高級ホテル以外でも様々な年末年始・正月プランが存在し、ホテル情報の比較・検索サイトで条件検索すると、東京のホテルで1万円以下のプランが見つかる。
高級ホテルのプランがホテル内で行事をまとめて楽しめるものに構成されている傾向にあるのに対して、その他シティホテルのリーズナブルなプランでは年末年始の観光など、素泊まりプランに近い設定になっていることが多い。
いずれにしても正月を家の中で過ごす、という従来のスタイルから変化していることは明らかであり、その状況変化にホテルのサービスがうまく合致した形だ。
正月と同じ時期、12月下旬のもう一つのビッグイベントといえばクリスマスであるが、バブル期のような隆盛は見られないものの、依然、ホテル業界にとっては絶好の商機であることには変わりない。
しかし、クリスマスは年度によって平日に当たる場合があることや、比較的若い世代に客層が偏りがちな点を考慮すれば、安定的売り上げが確実に見込めるイベントではない。
こうした中、正月商機は強みを見せる。インターネットリサーチを実施しているマクロミルの2014年~2015年 「年末年始の過ごし方に関する調査」によれば、「帰省する予定」と回答した人は64%と多く、「年末年始の行事」として上位に上がったのは「年越しそば」「紅白歌合戦」「雑煮」だった。
つまり、日本の正月の過ごし方の形は変わりつつあるもの、「家族と過ごす」「年越しそばを食べる」などの点はあまり以前と変わらず、動向が安定しているということだ。変わったのは家の中からホテルや旅館など、家族と過ごす場所だ。
この流れを受けてか、大阪市・中央区のホテルニューオータニ大阪では高齢者も家族と一緒に食事を楽しめるよう、フランス料理で介護食を提供している。
東日本大震災以降、家族とのつながりを見直す人が増えたが、ホテル業界にはこうした家族をターゲットにしたサービスの次なる発展を期待したい。(編集担当・久保田雄城)