加速する自動車の電装化と、日系エレクトロニクス企業のしのぎ合い

2015年12月19日 20:41

Toyota FCV

電装化が加速する自動車業界。ローム、TDKなどの日系エレクトロニクス企業は、省電力・省スペース・高信頼性で世界シェアを狙う

 ここ数年の間に、自動車の電装化が急速に進んでいる。それに伴い、これまでどちらかといえば自動車業界には縁が薄かったエレクトロニクス系の企業が続々と市場に参入したことで、自動車業界の系列構造が大きく変容しはじめており、世界規模で混沌とした状況が続いている。

 自動車の電装化は大きく「装備品の電装化」「パワートレインの電動化」「ドライブトレインの電子制御化」の3つに分類できる。中でも、近年は自動運転制御や運転支援など「ドライブトレインの電子制御化」の需要が伸びており、これによって電装化の加速が見込まれている。その際、いずれの分野においても課題となるのが、消費電力と実装体積の問題だ。自動車に搭載される様々なエレクトロニクス・アプリケーションにおいて、消費電力を限りなく抑えつつ、いかに省スペースで納めるかが、メーカー生き残りのカギといっても過言ではないだろう。しかも、これからの普及が見込まれる次世代の電気自動車やプラグイン電気自動車などでは、電装部品の低消費電力化はますます重要な課題となるのは間違いない。

 日系の大手半導体企業でも、車載部品の省電力化・省スペース化によるシェア獲得は今後に向けての戦略上の重要課題となっており、各社がしのぎを削っている。

 例えば、ルネサスエレクトロニクス<6723>は、ボディ・コントロール・モジュールや車載エアコン、パワーシートなどの車載制御システム分野に向けた低消費電力16ビットマイコン「RL78/F15」を昨年開発し、今年の6月から量産を開始している。同製品は業界最小クラスの低消費電力で、高い処理性能をもつルネサスのマイコン「RL78ファミリ」の車載向けシリーズ。今回の販売で「RL78ファミリ」の車載制御向けラインアップは16ビットマイコンで業界最大級となる。複数の電子制御ユニットで「RL78ファミリ」のソフトウェアを共有で使用できるため、ソフト開発負担の軽減にも貢献する。

 また、車載部品で業績を伸ばしているTDK<6762>も次世代エコカーをターゲットにした技術開発を積極的に推進しており、駆動モータの小型化・高効率化が可能な「ネオジムマグネット」や、電流量を計測して省エネ走行に役立てる「電流センサ」、「DC-DCコンバータ」などを中心に、電子機器の省電力化や小型・軽量化に取り組んでいる。

 ローム<6963>も11月、業界最小の動作電力4.66Wを実現した、高効率なカーオーディオ用システム電源IC「BD49101AEFS-M」を開発し、注目を集めている。「BD49101AEFS-M」は、電源システム構成の最適化により、動作電力を同社従来品比で約65%も削減し、多機能化やUSB、Bluetoothなど電源系統の増加にも対応している。さらに、同製品は基板のみで放熱が可能となる面実装パッケージでの実装が可能となったことで、放熱板が不要になり、同社従来比で、約1/14の体積を実現している。

 電装化とともに、自動車ネットワーク化も着々と進んでいる中、今後益々、省電力、省スペース、高信頼性の車載部品が求められることだろう。これらはまさに、日系企業の得意とするところではないだろうか。いずれにしても、現在の部品メーカー各社の動向が、10年後、20年後の自動車業界の地図に大きな影響を及ぼすことは間違いなさそうだ。(編集担当:松田渡)