9月の百貨店売上高、「化粧品」が前年比2倍のワケ

2015年10月21日 07:46

画・国内インポートブランド市場拡大は、景気拡大の証か

日本百貨店協会が公表した9月の売上高は4463億円あまりで、6ヶ月連続で前年実績をクリアした。

 日本百貨店協会が公表した9月の売上高は4463億円あまりで、6ヶ月連続で前年実績をクリアした。上昇幅は+1.8%で、前月よりやや減少した。また、外国人観光客や富裕層の恩恵を受けやすい都市部では前年同月比+3.9%だったのに対し、全国10都市以外の地方では-2.4%と、都市と地方の差が鮮明になっている。地方百貨店は、4ヶ月連続でマイナスだ。

 9月は全国的に雨が多く、百貨店にとっては苦しい日が続いた。それでも都市部で前年実績を上回ったのは、シルバーウィーク中の天気がよく、客足が伸びたこと、国民の休日が1日増えたことなどによる。シルバーウィーク、敬老の日、彼岸の休日を合わせた売上を、全国の113店舗に聞いたところ、「変化なし」が最多の71店、次いで「増加した」「減少した」がそれぞれ21店だった。天候不順の影響を受けた北海道、東北、関東では前半の遅れを取り戻せなかったが、その他の地区ではおおむね、シルバーウィークの売上が前半の不振を補った。

 商品別では9月の気温が低かったこともあり、主力の「衣料品」が-2.8%と、2ヶ月連続で前年を下回った。売上の貢献が大きい「婦人服」が-3.8%で、全体を押し下げている。一方、昨年10月から免税対象となった「化粧品」は、インバウンド消費が好調で+15.3%、富裕層が対象の「美術・宝飾・貴金属」も+13.6%と、いずれも6ヶ月連続で前年実績を上回った。特に東京の店舗では、「化粧品」の伸びが前年同月比+30%と、全国平均の2倍に達している。インバウンド消費の効果だろう。

 訪日外国人による売上は、引き続き好調だ。9月の購買客数は231%増、売上高も180%増で、13年2月から「32ヶ月連続」のプラスを記録した。中国の長期休暇「国慶節」(10月1日~7日)前にもかかわらず、この勢いはすさまじい。若干、伸び幅のペースは落ちたものの、化粧品などは確実に伸びている。全体の売上に占める訪日外国人のシェアも拡大傾向にある。10月は国慶節があるため、都市部の店舗では中国人による「爆買い」がみられそうだ。業界が潤うのは確実だろう。(編集担当:北条かや)