訪日外国人旅行客の数が、11月としての過去最高を更新した。11月13日にフランスのパリで発生した同時テロの影響が懸念されていたが、今のところ訪日外国人旅行客に対して大きな影響は現れていないようだ。16日、日本政府観光局(JNTO)が発表した11月の訪日外国人旅行客数(推計値)によれば、前年同月比41.0%増の164万7600人であり、11月の過去最高を更新。その背景には為替レートの円安や、原油安、ビザ発行要件の緩和、航空路線の拡大などが挙げられる。
国別に見てみると、最も多かったのが中国からの旅行客で、全体の22%を占めた。訪日中国人旅行客の数は同75.0%増の36万3000人で、次いで多かった韓国の同50.5%増の35万9800人を上回った。ただし、10月は同99.6%増であり、それと比べると伸び率は低下した。これについてJNTOは、韓国での中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の流行が終息したことを受けて、旅行客が韓国に流れたためと分析している。3位は台湾で、同25.4%増の29万6500人だった。主要20市場のうち、ロシアを除く19市場が11月としては過去最高を更新。学校の休暇により上記3ヶ国以外にも、マレーシアやフィリピンからの訪日外国人旅行客も増加した。このうちマレーシアは単月としても過去最高を更新した。紅葉観賞などを目的とした訪日需要が増加したことも、旅行客増加に大きく寄与した。
すべての国・地域における2015年累計(1~11月)は、同47.5%増の1796万4400人であり、この時点で、過去最高を更新した14年度の1341万人をはるかに上回っている。政府は20年に訪日外国人旅行客2000万人を目標として掲げていたが、これを年度内に上積みする模様だ。
そして12月についてJNTOは、シンガポール、マレーシア、インドネシアからの学校の休暇を利用した旅行や、香港やカナダからのクリスマス休暇を利用した旅行などの需要が期待されるとしており、今年一年かけて何かと話題になった「訪日外国人旅行客」の勢いは、まだまだとどまりそうにない。(編集担当:滝川幸平)