富士重工業、つまりスバルのクルマが北米を中心に絶好調だ。2015年3月期の業績を見ると、グローバルの販売台数は91.1万台で前年に比べて8.6万台の増加、前年比で110.4%となった。企業としての売上高は2兆8779億円(前年比119.5%)、営業利益が4230億円(同129.6%)だった。会社全体の売上高に占める自動車部門の売上は2兆6990億円(同120.1%)、構成比も93.8%とこれまで最高を記録した。
2015年4-9月期の中間決算では、さらに上回る数字を叩き出した。売上高1兆6015億円(前年比122.2%)、営業利益は2851億円(同153.6%)だった。この結果を受けて、年間売上見込みで3兆2100億円(同111.5%)、営業利益5500億円(同130.0%)を見込む。
この好調な業績を支えているのが、北米を中心とした海外販売だ。富士重車の国内販売は、軽自動車では前年を上回ったものの、新車効果の薄れた登録車が前年を下回り、前年比93.0%の6万7000台。一方、海外販売は、北米を中心に「レガシィ&アウトバック」が引き続き好調に推移し、40万6000台(同112.7%)と伸長した。この結果、全世界合計の販売台数は47万2000台(同109.4%)。全世界販売台数は第2四半期累計期間として、海外販売台数と北米販売台数はすべての半期を通じて過去最高となった。
国内では新味のある登録車がなく、台数で前年を割っている現状を打開するため、富士重は2016年秋にスバルブランドのエントリーモデル「インプレッサ」をモデルチェンジして発売する。2015年10月の東京モーターショーで「インプレッサ5ドアコンセプト」を発表。続く11月の北米ロサンゼルスショーで「インプレッサ・セダンコンセプト」が発表した。東京のショーでは、吉永泰之社長が「インプレッサ5ドアコンセプト」をアンベールし、新しいプラットフォーム「スバルグローバル・プラットフォーム(SGP)」を呼ぶ新しい骨格を採用した新型にモデルチェンジすると発表した。
新型車は、現行と同様に5ドアの「スポーツ」とセダンの「G4」というラインアップとなる模様。ただし、燃費規制を大きく超えるエンジンに換装される。富士重ではすべての機種でエンジンを直噴化することを発表しており、インプレッサもエンジン換装が行なわれる。現行では1.6リッターと2リッター(ともにFB型)の2本立てだが、燃費性能で20km/リッターを超える1.6リッター直噴ターボとなりそうだ。ベーシックなインプレッサ・スポーツも燃費規制から逃れられない。
燃費性能の向上とともに重要なのが、安全性能の進化だ。スバル車選びの大きなポイントとなっている「アイサイト」は、すでに「バージョンⅢ」まで進化している。が、新型インプレッサには、自動運転を見据えた「バージョンⅣ」に進化、あるいはアイサイトのコストダウンに期待したい。
また、モデルチェンジと同時に発表されるかどうか不明だが、遅れてスポーツハイブリッド車も大幅に進化して追加されるはずだし、現行で同じボディを共用するコンパクトSUVの「XV」ハイブリッドも視野に入ってくる。ハイブリッドシステムは、盟友トヨタの全面協力を得て、縦置きエンジン車用ハイブリッドシステムが移植される可能性も捨てがたい。
そして、遅れること1年。2017年には、待望のWRX-S4、同STiが登場する。現行モデルで300ps超のターボユニットを搭載して、圧倒的な運動性能を獲得している2台。ここでも燃費性能の向上が求められる。もしかするとここでもモーター駆動のAWD、つまりハイブリッドAWDが投入されるかもしれない。(編集担当:吉田恒)