14年に引き続き15年の太陽光発電は淘汰の年に

2015年12月31日 11:39

 2015年の太陽光発産業を振り返ってみると、各地でメガソーラーの建設が相次ぎ、太陽光発電協会(JPEA)の発表によると2015年第二四半期の日本における太陽電池出荷量は前年同期比7.7%増の197万8,851kWとなっている。 相変わらずメガソーラーの稼動数は増加しており、そして、引き続き各地でメガソーラーの新設が発表されている状況だ。

 このように、施設の建設ラッシュは続き、2014年前半は「メガソーラーバブル」ともいうべき状況になっていた。運営会社も、京セラ、東芝、シャープ、ソーラーフロンティアなどもともと太陽光発電事業を推進していた企業のみならず、伊藤忠商事などの商社系、ソフトバンクなどの通信系企業も参入している。

 しかし、2014年後半にこのバブルがはじけ、淘汰が始まった。これは、2014年に供給量が、経済産業省が見込んでいた発電量1000万kWをはるかに上回る6800万kWとなってしまったことによる。つまり、供給量が過剰となり、電力会社は新規参入の凍結と受け入れの停止をせざるを得ない状況になった。この余波が2015年も続いていると言えよう。

 経済産業省が公表した2015年8月末時点の固定価格買取制度(FIT)における再生可能エネルギー発電設備の導入状況を取りまとめによると、引き続き、非住宅用太陽光発電が順調に稼働を開始し、FIT開始後に設備認定を受けた再エネ発電設備のうち、稼働した設備は累計で2,300万kWとなった。

 一方、8月に新たに設備認定を受けた非住宅用太陽光は「-42万kW」。「マイナス」に転じた4月以降、5カ月連続のマイナスで、7月の「-52万kW」に続く大幅マイナスとなったという。つまり、新規の参入がこれまでにくらべ減ってきているわけである。

 このため、2015年に入っても前述したような国内の大手メーカーは相変わらず、事業推進しているが、海外では撤退やM&Aが進んでいる。また、国内でも経営再建中のシャープが全社規模の事業不振から太陽光発電から撤退するという噂もある。
 
 しかし、もともと資源の乏しい我が国にとっては、太陽光発電の重要性とメリットは変わらない。再生エネルギーへの早急な転換は必要だ。その中でトップを走っている太陽光発電の重要性は変わらない。現状で果たしてここまで需要があるのか疑問もあるが、むしろ需要を作り出そうという政府やメーカーの思惑通りにはことは進んでいない。2015年は、昨年に引き続きいったん落ち着いて見直す時期だっただろう。(編集担当:慶尾六郎)