昨年11月の景気動向指数の速報値が発表された。それによれば、景気の現状を示す一致指数は中国経済の低迷により企業の生産が落ち込んだことや、個人消費の落ち込みなどにより、2ヶ月ぶりに悪化したことがわかった。景気の先行きを占める先行指数も2ヶ月ぶりの悪化となった。
景気動向指数は8日に内閣府が発表。15年11月の景気動向指数(2010=100)の速報値によれば、一致指数は前月よりも1.7ポイント低下して111.6であった。ただし、直近数ヶ月の平均値などから機械的に判断する基調判断については、「足踏みを示している」のまま据え置いた。基調判断の据え置きは、これで7ヶ月連続のこととなる。
一致指数が低下した要因として、中国経済の低迷による企業生産の落ち込みや、消費低迷などが挙げられる。また、電気機械などの出荷が振るわなかったことや、例年よりも気温が温かく推移したことにより、冬物衣類などの売れ行きが伸びなかったことも影響した。
一致指数の前月差に対する個別系列の寄与度では、「中小企業出荷指数(製造業)」「耐久消費財出荷指数」「商業販売額(小売業)(前年同月比)」「鉱工業用生産財出荷指数」「投資財出荷指数(除輸送機械)」「生産指数(鉱工業)」「商業販売額(卸売業)(前年同月比)」「有効求人倍率(除学卒)」などがマイナスとなっており、「営業利益(全産業)」「所定外労働時間指数(調査産業計)」がプラスとなっている。
また、一般指数を構成する10の指標のうち、電気機械や金属などが低迷して「中小企業出荷指数(製造業)」の指数が大きく落ち込み、「耐久消費財出荷指数」も係蹄電話や薄型テレビ、自動車などを中心に落ち込み指数が伸びなかった。そのほか、暖冬により冬物衣類の販売が落ち込み、「商業販売額(小売業)」「商業販売額(卸売業)」ともに数値が低下した。
そして、数か月先の景気の先行きをしめす先行指数は、前月よりも0.3ポイント低下103.9となっており、こちらも2ヶ月ぶりに悪化した。(編集担当:滝川幸平)