うがい薬の代表格である「イソジン」が、“お引っ越し”することになった。これまで明治が製造販売していたが、4月からは塩野義製薬が売ることになったのだ。明治グループの製薬会社Meiji Seikaファルマが「イソジン」の製造販売承認を、提携関係にあるムンディファーマ株式会社(オランダ)に移管し、塩野義製薬がムンディと日本における販売提携契約を結んだため。
イソジンは、明治製菓(現・明治)がムンディと技術提携し、1961年に殺菌消毒薬として売り出された。80年代に商品キャラクター「カバくん」が登場し、パッケージやCMで認知度を高めていった。
気になるのは「カバくん」の“去就”。製造販売権が移ってしまいどうなるのか……という心配もあったが、明治ではイソジンの提携解消後すぐに4月から販売する「明治うがい薬」を発表した。パッケージには今までどおり、カバくんが描かれている。明治には「小学生に対してうがい・手洗い教室を実施するなど、のどの殺菌・消毒による『うがい文化』を定着させてきた」という自負があり、その象徴がカバくんというわけだ。一方で、塩野義もカバをキャラクターに起用するとの一部報道があったが、同社では「戦略上のことなので公表できない」としている。
薬の名称やシンボルマークについては、裁判沙汰になったこともある。胃腸薬「正露丸」を巡る訴訟が有名で、「セイロガン糖衣A」を製造・販売する大幸薬品が、富山の医薬品企業キョクトウが販売する「正露丸糖衣S」により損失を受けたとしてキョクトウにパッケージの使用差し止めなどを求めて最高裁まで争われた末に、2014年に大幸薬品の上告が退けられた。「正露丸」がすでに一般名称として多数の業者に使われていることや、キョクトウの製品にはラッパのマークがないことなどが理由だ。現在では30種類ほどの正露丸が存在するとされている。
イソジンも正露丸に負けない国民的認知度のある薬。イソジンを選ぶか、明治うがい薬を選ぶかは、利用者の意思によるが、わかりにくいパッケージや啓発には気をつけた