マクドナルドは本当に大丈夫?

2016年01月10日 14:42

画・マクドナルドとNTTドコモ業務提携 その中身とは?

日本マクドナルドホールディングスが発表した2015年12月の全店売上高は、前年同月比で5.4%増と、一連の不祥事が起きて以来最大の伸びを示した

 日本マクドナルドホールディングスが発表した2015年12月の全店売上高は、前年同月比で5.4%増と、一連の不祥事が起きて以来最大の伸びを示した。既存店売上高は同8.0%増だった。客数は2.6%減と、32カ月連続で減少しているのだが、その一方で客単価は11%増という驚異的な伸びを見せたことから、いい数字が出た。

 10月に発売した200円バーガーや期間限定のグラタンコロッケバーガーが好調で、セット注文が増え、人気キャラクター「妖怪ウォッチ」のハッピーセットも好調だったことなどで客単価は大幅増となったという。同社では、客数が減ったのは、深夜営業をやめたり、改装工事のため営業日数が短かった店舗があったりしたためとし、「売上高、客数ともにビジネスリカバリープランの進捗により着実に回復の傾向にある」と業績回復に自信満々だ。

 マクドナルドは14年7月の賞味期限切れ問題、15年1月の異物混入問題で大きなイメージダウンを受けた。それ以降、売上が激減し、前年同月比では20%以上減少という月も珍しくなかった。客単価は15年でプラスになったのは12月を含めて4カ月だけだった。

 マクドナルドは復活したのか。売上の増加は、同社も指摘しているように、客単価の増加に尽きる。平日の昼に350円から提供していた「昼マック」をやめ、新たに「おてごろマック」を販売した。「エッグチーズバーガー」など3種類のハンバーガーを単品200円、セット500円で提供している。これが昼のセット最低料金で、てりやきマックバーガーセットは610円、ダブルチーズバーガーセットは640円だ。マックが「おてごろ」だった時代を知る世代としては、驚きの価格。すぐ近くにある天丼屋と変わらない価格だ。新セット設定当初は物珍しさもあるだろうが、固定客につながるのか、疑問が残る。

 とはいえ、マクドナルドがハンバーガー業界で圧倒的なシェアを誇っていることは間違いない。ライバルは、どう対抗しているのか。ロッテリアは、正月早々から客層である若年者の受験を意識した「4種チーズと三元豚ヒレ勝つバーガー」を投入したり、地方の高校とコラボして限定バーガーを販売したりと意欲的なメニュー開発を見せている。モスバーガーは定番の「モスバーガー」を軸に、期間限定、数量限定の“変わりバーガー”をまじえ、独自の展開を歩む。かつては、「安いのはマック、モスはうまいけど高い」というイメージがあったが、マックの値上げにより、その差もなくなっている。

 マクドナルドでは、「お客様と心でつながる、モダン・バーガー・レストランを目指す」としているが、売上の数字に一喜一憂するよりも、客と心でつながるための施策はないのか、そのあたりも積極的に開発してほしい。(編集担当:城西泰)。