薬の管理もスマホでOK――ドコモ

2016年01月23日 18:19

 医療費削減の取り組みの中で、「残薬」は大きな問題だ。毎食後に何種類もの薬を飲みながら、棚の引き出しを開けるとすでに何の薬かもわからなくなっている錠剤が大量に眠っているということは、高齢者を中心によくあるシーンだ。厚生労働省によると、薬の飲み残しは在宅患者らの3分の1以上で見られ、金額に換算すると1年間に500億円にもなるという。一方で、きちんと指導を行えば、飲み残していた患者の3分の2で服薬習慣の改善が見られ、試算では500億円中400億円分が無駄にならずに済むともされた。

 厚労省は調剤薬局に対して薬を調剤する前に患者の薬の管理を強化するよう指導を強めているが、ここにもスマホが進出した。NTTドコモは、薬局が「電子お薬手帳」を導入して効果的な服薬指導が実施できる汎用サービス「おくすり手帳Link」を3月から始める。ドコモではこれまでもチェーン薬局向けにカスタマイズした電子お薬手帳を提供し全国約1,300店舗で導入されているが、この取り組みをさらに推進するためにカスタマイズしなくても汎用的に導入できる電子お薬手帳サービスを新設したというわけだ。

 薬局側は有料で、患者側は無料。薬局は患者の過去の調剤情報やアレルギー歴等の服薬情報を確認することで、状況に応じた効果的な服薬指導を実施することができる。患者は薬の効能や用法・用量などを確認したり、服薬の実績や体調変化などの服薬情報を自身で管理したりできる。

 調剤薬局企業の日本調剤が2014年に行った調査によると、飲み残し薬への対処法では「保管しておく」が最も多く51.5%。次いで「次回処方してもらう時に調整する」40.2%だった。スマホで薬局と直接結ばれることで残薬減量効果が上がることが期待される。薬には有効期限があるので、いったん回復したあとに同じ症状が出たからといって保存した薬を再び服用してはいけない。また、自己判断で服用を中止すると再発する可能性もあるので、最後まで専門家の判断を仰ぐことが必要だ。(編集担当:城西泰)