社長にも押し寄せる高齢化 15年の社長の平均年齢は59.2歳と過去最高を更新

2016年01月31日 18:14

 内閣府の発表した『2015 年版高齢社会白書』によると、65歳以上の高齢者の数は過去最高の3300万人に達し、総人口の26.0%を占めており、日本社会の高齢化の進展がいかに急激に進んでいるのか分かる結果となった。企業の経営者も例外ではなく、平均年齢が年々上昇を続ける中で、60代の経営者の半数以上が後継者不在になっている状況も判明しており、トップの高齢化にどう向き合うのか、企業はその対応を求められている。

 これを受け、帝国データバンクは、2015年12月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(約146万社収録)から「株式会社」「有限会社」114万9108社のデータを抽出。社長の年齢と2015年の1年間における社長の交代状況について分析した。

 社長の平均年齢を見ると、2015年は59.2歳と過去最高を更新した。1990年以降一貫して上昇を続けており、社長の高齢化は着実に進展している。社長交代率(=1年の間に社長の交代があった企業の比率)を見ると、2015年は3.88%で、3年連続で前年を上回り、リーマン・ショック以来低下傾向にあった交代率は回復の兆しが見え始めているとしている。

 また、2015年に社長が交代した企業を新旧代表の平均年齢からみると、前代表が67.0歳、新代表が50.8歳となった。おおむね代表の年齢が高齢者に分類される65歳を過ぎた後に代表交代が行われ、平均して16.2歳若返りが図られていることが分かったとしている。

 業種別に社長の平均年齢を見ると、最も高かったのは不動産業の61.1歳。次いで、製造業の60.7歳、卸売業の60.2歳が続いた。年代の分布を見ると、不動産業は70代や80歳以上の社長が他業種に比べ多いため平均年齢が高いことがわかる。また、製造業では30代、40代の社長が少ないことで、平均年齢が押し上げられていることがうかがえるとしている。

 また、業種細分類別に社長の平均年齢を見ると、最も高かったのは「貸事務所業」の 65.07歳。上位には「土地賃貸」や「貸間業」などの不動産業が多い結果となった。社長の高齢化に伴う事業縮小の一方で、余剰となった土地やフロアを貸し出した結果の賃料収入が本業を上回るようになったケースが多いためとみられる。

 一方、平均年齢が最も低かったのは、携帯電話ショップに代表される「通信付帯サービス」の 47.38歳で、「貸事務所業」との差は約18歳と大きく開いた。このほか「ソフト受託開発」などのIT関連の業種をはじめ、起業時に設備投資への資金が掛からないサービス業などが目立っている。

 年商規模別の平均年齢を見ると、「1000億円以上」の60.9歳が最も高くなり、「1億円未満」の60.0歳がこれに続いた。年代別での分布を見ると、60代社長は年商規模が大きいほど多くなり、逆に小規模企業で70代や80歳以上の社長が多くなっている。また、平均年齢の推移を見ると、年商500億円以上の企業では 1990 年と比べ若返りが起きているのに対し、「1億円未満」は 7.6歳上昇。小規模企業の社長の平均年齢は、事業継承の難しさや若者の起業減少もあって急激に上がり続けているとしている。(編集担当:慶尾六郎)