JALの再建事例がハーバード大学の教材に!何を学ぶのか?

2016年02月02日 08:24

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ハーバード・ビジネス・スクールの必修科目「ファイナンス2」で、JALの再建事例が教材として選ばれた。これまではユナイテッド航空のケースが使用されてきたが、外国の倒産事例を学べるとして、JALが取り上げられているという。

 ハーバード大学の経営大学院であるハーバード・ビジネス・スクールの必修科目「ファイナンス2」で、JAL<9201>の再建事例が教材として選ばれた。これまではユナイテッド航空のケースが使用されてきたが、外国の倒産事例を学べるとして、JALが取り上げられているという。

 JALの破綻は、2008年のリーマン・ショックが直接の引き金ではあるが、ショックに耐えられなかった企業体質が大きな原因であると言われている。効率が良いとは言えない大型機材を大量に保有していたこと、投資の失敗、複数の労働組合の存在など、多くの問題を抱えていた。

 同大学院では、最初にモジリアーニ=ミラーの理論(MM理論)について学ぶという。MM理論とは、資本構造における近代的思考の基礎であり、「完全な市場の下で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しないという定理」である。しかし現実は、必ずしも万能ではない。負債、株式資本の割合といった資金調達の組み合わせが重要になってくる。

 負債によって資金を調達すると、負債の利息は所得から控除されるため、税金面ではメリットがあるが、債務超過となれば成長戦略を諦めざるを得ず、資産も売却せねばならない。競争優位性も失い、調達先や顧客からも逃げられてしまう。

 倒産事例では、倒産と再建の手法だけでなく、負債によって資金を調達することの「デメリット」を学ぶという。JALに限らず、生々しくドラマチックな事例だからこそ、必修科目で倒産事例を取り上げるのだそうだ。

 「なぜ債務超過に陥ったのか」「今後債務超過になるのを避ける方法」を中心に議論を展開していく。資産の構成や損益計算書などを読み解き、投資家の立場から、倒産しそうな会社を救済すべきかという議論も行い、学生たちは意見を述べなくてはならない。

 同大学院のカール・ケスター教授は「航空会社の事例は倒産の事例として欠かせない」と述べた。世界中で数多くの航空会社が倒産し、負債に頼らざるを得ないのが現状だ。JALの破綻は非常にショッキングな出来事であったが、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)