2型糖尿病治療の新手法に光明――東大など

2016年02月09日 12:21

 予備軍を合わせると2,000万人にも上ると推計される日本の糖尿病患者。糖尿病には1型と2型があるが、9割以上を占める2型糖尿病についての研究で、遺伝子をターゲットにした新しい治療法の可能性が示された。

 研究したのは、理化学研究所、東京大学、琉球大学の共同チーム。これまでの研究では「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」という方法で、83の2型糖尿病の「疾患感受性遺伝子領域」が発見されていたが、その多くは欧米人を対象に行われた解析によるものだった。しかし、今回、研究チームは「日本人における遺伝要因を解明するためには、日本人を対象としたGWASを行うことが必要」と、解析を進めた。

 まず、日本人の2型糖尿病患者約4万人のGWASを行い、さらに別の約1万3,000人の日本人で検証した。その結果、これまで2型糖尿病の「疾患感受性遺伝子領域」だと報告されていかった7つの遺伝子領域を突き止めた。

 さらにこの7領域を含む90の疾患感受性遺伝子領域内の遺伝子について調べたところ、すでにある2型糖尿病治療薬に加え、他の病気の治療薬として臨床研究中の薬にも2型糖尿病の疾患感受性遺伝子領域をターゲットとしているものが複数あることがわかった。これらの薬は2型糖尿病治療に適応できる可能性があり、新たな治療薬開発の一助となることが期待できるという。

 研究チームは「生活習慣病の治療薬の反応性には個人差があり、最適な治療法は異なる。遺伝子の詳細な解析などで、個人の体質に合わせた治療法の確立につなげられる可能性がある」としている。個別化医療の進展は速い。(編集担当:城西泰)