1月の都心オフィス空室率、9ヶ月連続の低下

2016年02月15日 10:24

 オフィス仲介大手の三鬼商事が10日、1月末時点での都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス平均空室率を発表。それによれば、空室率は前月比0.02ポイント低下して4.01%であり、これで9ヶ月連続の低下となった。

 大型成約があった一方で、大型解約もあったことが影響して改善幅が小幅となったが、東京都心のオフィスの不足感は強まりをみせている。景気の先行きに対して不安感を示す向きはあるものの、今後の業務内容拡大にそなえてオフィスを移転・増床する動きも多い。3.3平方メートルあたりの平均賃料は同0.55%上昇して1万7790円であり、前月よりも98円上がった。こうして前月を上回るのはこれで25ヶ月連続のこととなる。平均募集賃料は前年同月よりも4%上昇している。こうした状況に関して三鬼商事は、2月は大型新規ビルの供給がないため、空室率の改善傾向は続くのではないかとの見通しを示している。ただし、2016年はオフィス供給量が増加するものの、需給のバランスは大きく崩れないのではないかとの見方がなされている。

 そして東京以外の都市でも、オフィス平均空室率は低下している。大阪のオフィス平均空室率は同0.18ポイント低下の7.27%。1月はビジネス地区以外からの移転などにより、大型空室の一部に成約が進んだほか、中小規模の成約の動きも活発だった。解約の動きが小規模に止まったこともあり、全体の空室面積が約4000坪減少した。

 名古屋は同0.16ポイント低下して7.18%。1月は新築ビルへの移転にともなう大型解約の動きがあったものの、分室の開設や館内増床などにともなう成約の動きが活発にみられたことや、10月に竣工した「大名古屋ビルヂング」に成約が進み、同ビルが満室稼働となったことが改善に大きく影響した。

 こうして大阪、名古屋ともに東京と同様にオフィス空室率は低下となったが、3.3平方メートルあたりの平均賃料の上昇は、東京と比べると鈍い。大阪は同3%低下の1万1111円であり、名古屋は同2%増の1万796円となっている。(編集担当:滝川幸平)