14年度の国内文具・事務用品市場は前年度比0.6%減の4,662億円 紙製品、事務用品が落ち込み市場全体は微減推移

2016年01月09日 18:08

 矢野経済研究所では、国内の文具・事務用品市場の調査を実施した。調査期間は2015年10月~12月、調査対象:文具・事務用品関連事業者等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2014年度の国内文具・事務用品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比0.6%減の4,662億円であった。文具・事務用品市場は、景気後退期以降、11年度までは法人需要を中心に低迷が見られていたが、12 年度以降は、個人需要に対応したヒット商品が創出された筆記具が大きく拡大し、市場規模全体を押し上げている。一方、14年度については、筆記具は拡大となったものの、紙製品、事務用品の落ち込みをカバーするまでには至らず、市場全体は微減推移となったとしている。

 同年度を分野別に見ると、筆記具が前年度比3.8%増の928億円、紙製品が前年度比0.7%減の1,656億円、事務用品が同2.3%減の2,078億円であった。筆記具は3期連続のプラス成長であり、12年度以降、水性ボールペンのヒット商品が市場拡大を牽引している。

 紙製品は、5割以上の構成比を有する封筒が消費増税の反動減などの要因で前年度割れとなった。ただ、手帳類やノートは、近年、個人向け需要が好調となっており、特に手帳類は11年度以降拡大基調が続いているという。

 事務用品は、調査対象13品目のうち、前年度を上回ったのは、ファイル類、事務用のりの2品目に留まり、デジタル化の進展など、オフィス環境の変化や依然として続く経費削減など、法人需要の停滞に影響を受けているとしている。

 また、14年度の国内ボールペン(水性ボールペンと油性ボールペンの合算値)市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比5.8%増の439億円となり、水性ボールペン、油性ボールペンともにプラス成長で推移した。

 14年度の水性ボールペン(ゲルインキ含む)市場は、前年度比10.4%増の 234億円であった。市場はここ数年大幅な市場拡大を続けており、その主な要因は、“消せる”ボールペンの急成長によるものであるという。

 油性ボールペンの 14年度市場規模は、前年度比1.0%増の205億円であった。ここ数年における市場の伸長率と比較すると14年度は鈍化が見られているという。

 15年度は水性ボールペン、油性ボールペンとも引き続き市場拡大が見込まれるが、その成長には鈍化が推測されることから、国内ボールペン市場規模(同)はメーカー出荷金額ベースで、前年度比 2.7%増の451億円と予測している。

 国内シャープペンシル市場規模(本体及び替芯)はメーカー出荷金額ベースで、前年度比5.1%増の145億円であった。12年度以降、個人消費の復調や主要メーカー各社による販促活動の奏功などを受け、緩やかな増加基調が見られていた。14年度は主要メーカー各社より投入された芯が折れないといった高機能・高付加価値を訴求した新商品によって消費者需要が活発化した。

 15年度は主要各社が投入した新商品が通期で展開することや、商品バリエーションの強化などもあり、市場規模は前年度比6.9%増の155億円と拡大基調を予測している。(編集担当:慶尾六郎)