生涯学習に取り組んだ人が減少。目的は実利のためが上昇

2016年02月18日 12:32

 内閣府が「教育・生涯学習に関する世論調査」を行ったところ、1年以内に生涯学習に取り組んだ人は前回調査(2012年)より大きく減って半数を割った。その中で取り組んだ理由として「仕事や就職のため」を挙げた人が増えた。調査は、昨年12月に全国の20歳以上を対象に個別面接方式で行われ、1,653人から有効回答を得た(回収率55.1%)。

 「この1年くらいの間に生涯学習をしたことがあるか」の問いに「ある」と答えたのは47.5%で、前回調査の57.1%から9.6ポイント減少した。内訳(複数回答)では「健康・スポーツ」がトップで21.0%(前回調査9.4ポイント減)、2位以下は「趣味」18.8%(同6.9ポイント減)、「職業において必要な知識・技能」15.2%(同3.3ポイント減)だった。

 「何のために生涯学習をしているか」(複数回答)には、「その学習が好き、人生を豊かにする」が54.8%で最も多く、「健康の維持・増進」43.2%、「親睦や友人を得る」32.1%が続いた。上位6項目の中では、「現在の仕事や将来の就職・転職などに役立てるため」だけが前回の25.6%から28.0%に増えた。

 「どこで行うか」には、「公民館や生涯学習センターなど公的な機関」が39.9%で最も多く、「自宅(書籍など)」が前回調査から3.9ポイント増えて31.3%となり前回調査の5位から2位に上昇した。

 さらに「どのように生かしているか」を聞いたところ、「人生がより豊かになった」が52.1%、「健康の維持・増進」が45.0%で、「(給与面の優遇など)仕事や就職の上で生かしている」は32.6%だった。

 今後の生涯学習についての意向も質問しているが、「生涯学習をしたいとは思わない」と回答した人が16.0%いた。

 全体の数が減る中で、「仕事や就職・転職のため」に取り組むとした回答だけが微増し、方法では「自宅学習」が増えた。これをみると、引きこもっての真剣な学習姿勢が想像されるが、「親睦や友人を得る」という志向も多い。一概に生涯学習とくくっても、やってみようとする人々が求めることは様々だ。医療分野では「個別化治療」が広がっているが、生涯学習においても「個別化」への対応が官民の課題になっている。(編集担当:城西泰)