今季、マクラーレン・ホンダが投入する新型マシン「MP4‐31」。搭載するパワーユニットは、「Honda RA616H」。バンク角90度1.6リッターV型6気筒直噴ターボで、ハイブリッド駆動モーターを2基搭載する
F1チーム「マクラーレン・ホンダ(McLaren Honda)」は、3月18日にオーストラリアで開幕する2016 FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)の参戦に先立ち、2016年に参戦する新型マシン「MP4‐31」を公開した。この「MP4‐31」には、Hondaが開発した最先端のハイブリッド技術とコンパクト構造となったパワーユニット「Honda RA616H」を搭載し、昨年よりもマシンの空力特性をさらに高めたデザインを実現した。
マクラーレン・ホンダの昨年のマシンはパワー不足やトラブルに見舞われたが、オフシーズンの間、スタッフもクリスマス休みを返上して開発を続け、2016年の準備を着々と進めた。また、ホンダとマクラーレンのエンジニアが、共に昼夜の作業を行なうことで、チーム内の連携強化も図れたという。
今シーズンのパワーユニットは、基本コンセプトは昨年と変えず、昨シーズンのレースデータを元に、課題となっていたコンプレッサー周りなどを中心に、ハードウェアを進化させた。
完成したHonda RA616Hは、バンク角90度1.6リッターV型6気筒直噴ターボで、ハイブリッド駆動モーターを2基搭載する。
マシンのボディはカーボンファイバー・コンポジット製。フロントサスペンションは、カーボンファイバー製ウィッシュボーン。プッシュロッド方式トーションバー、ダンパーシステムを採用。リアサスペンションは、カーボンファイバー製ウィッシュボーンとし、プルロッド方式トーションバー、ダンパーシステムを組む。ドライバーを含めた重量は702kg(燃料含まず)だ。
ドライバーの布陣は昨年と変更なくフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトン。さらに2014年の全日本F3チャンピオンで、現在はGP2シリーズで戦う松下信治選手も、今季からチームのテスト兼開発ドライバーに起用されたことが先日発表されている。
2月22日は、スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで、2016年F1プレシーズン合同テストが開催され、マクラーレン・ホンダの新型マシン「MP4‐31」も参加した。現地のカタロニアでは前日夜半に降雨があり、テスト時もセミウエット状態。各チームはレインタイヤを装着してコースイン。「マクラーレン・ホンダ」チームは、この初走行をジェイソン・バトンに委ね、無事にチェックを終えた。
今年の事前合同テストは、例年より少なく8日間日程。開催地はいずれもカタロニア・サーキットのみ。前半は2月22日~25日、後半は3月1日~4日までのスケジュールだ。
また、ホンダは2016年F1世界選手権に関する体制を発表。ホンダとしてF1に関わる全般の統括・監督責務を担い体制を強化するため、取締役専務執行役員F1担当に、松本宜之(まつもと よしゆき)氏が就任。本田技術研究所において開発・製造・運営等の領域全般を担うF1プロジェクト総責任者には、新井康久氏に代わって長谷川祐介氏が就任する。いずれも3月1日の人事異動だ。オーストラリアF1・GP開幕まで、各チーム懸命の調整に余念が無い。(編集担当:吉田恒)