【今週の展望】芽吹きの季節で月が変わればツキも変わるか?

2016年02月28日 20:46

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守りの「最終ライン」を上げて、下値想定は16000円。上値は25日線を突破しさらに攻めに出る。カウンターでボロボロにされる可能性は、小さくなっている。

 26日終値は25日線よりも下で、25日移動平均乖離率は-2.2%だが、オシレーター系指標の中には気の早いことに「買われすぎ」を示すシグナルが2つ現れている。それは+60.1で買われすぎ基準の+50を上回ったRCI(順位相関指数)と、72.94で買われすぎ基準の70を上回ったストキャスティクス(9日・Fast/%D)。とはいえ、サイコロジカルラインは6勝6敗の50.0%と五分、25日騰落レシオは100.83で12月11日以来2ヵ月半ぶりに100を超えたところ。それほど気にする必要はなさそうだ。RSI(相対力指数)は43.4、ボリュームレシオは46.3だった。

 2月19日時点の需給データを確認しておくと、信用買い残は12日から1527億円減って2兆5270億円となり、約2年10ヵ月ぶりの低水準だった。それに伴い信用倍率(貸借倍率)も12日の5.22%から4.75%に急減。裁定買い残も12日から1468億円減少して1兆8380億円となり、昨年9月4日の1兆8476億円を下回り半年ぶりの低水準。一方、12日に2008年12月以来の低い水準、マイナス25.76%に沈んだ信用評価損益率は、19日はマイナス幅が17.91%まで圧縮し3週間ぶりに改善した。

 2月第3週(15~19日)の部門別売買動向は、外国人は7週連続の4053億円の売り越し、個人は3週連続の買い越しだがその金額はわずか25億円。一方、信託銀行の買越額は4999億円と大きく膨脹し、買い越しは13週連続となった。年金資金は律儀に日本株を買い支え続け、前々週は外国人に買い勝って週間騰落は1014円のプラスになった。その流れは週間騰落221円高の前週も続いたと考えられ、何か特別なことでもなければ今週も流れは途切れないと思われる。

 東証が発表するカラ売り比率は、前週は22日は41.5%、23日は41.0%、24日は41.9%、25日は39.0%、26日は39.2%だった。カラ売り比率が30%台に低下して、1月、2月のボラティリティの激しさも少しはおさまりそうな気配だが、日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は26日時点で34.09で、前々週末19日の36.96からそれほど低下していない。20を切っていた昨年末の水準はまだ遠く、前週も25日、26日に終盤に売り込まれたように、安心はできない。

 もっとも、前々週19日はレジスタンスラインになってはね返された16000円の大台が、前週23日には逆にサポートラインになって下支えしていた。24日は序盤にその大台を大きく割り込んだものの、前場のうちに一時回復。25日は大台を割り込んでもバネがきいてすぐに元に戻っていた。そんな実績に期待し、今週は16000円が引き続きサポートラインになるとみて、あえてこのキリのいい心理的節目を下値として選びたい。

 そのように守りの「最終ライン」を上げて、上値は前線でさらに攻めに出ていくと想定。25日線の16536円は引き続き大きな節目だが、今週はG20の結果、原油先物価格やNYダウの上昇を受けて為替レートの円安方向への修正があるとみて、16800円程度までの上昇局面が一度はあるだろう。12月SQ値は18943円、1月SQ値は17420円、2月のSQ値は15156円で、17000円までの間にレジスタンスライン候補はない。

 そこへタックルをかけてきそうな敵は、前半は国内の経済指標の悪さ、後半はアメリカ雇用統計発表前の様子見になりそうだが、前週あたりから東京市場は打たれ強くなり、ボラティリティが小さくなっている。先物主導の〃春の嵐〃がきて前線がタックルに倒され、「カウンター攻撃」でボロボロにされる可能性は、2月よりも小さくなりそうだ。

 年度末で月末に権利確定イベントがある3月になり、「月が変わればツキが変わる」という心理的な要素や、「春のIPOまつり」が始まる期待感も今週プラスに作用しそうだ。空も野も人の心も明るくなる芽吹きの季節。26日のNYダウは57ドル安だったが、ドル円レートは114円近辺まで円安が進行し、CME先物清算値は16320円と堅調だった。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16000~16800円とみる。ただし、上昇局面で踏み上げのターボチャージャーが作動して急騰するのに浮かれてワルノリしたりすると「オフサイドトラップ」にひっかかるから、ほどほどに。(編集担当:寺尾淳)