矢野経済研究所の調査によれば、2015年度のヘアケア市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比100.4%の4432億円と予測されており、5年連続のプラスとなる見通しだ。
成熟した市場ながら微増を続ける背景には、高齢化に伴う薄毛人口の増加や消費者のアンチエイジングに対する関心の高まりが考えられる。なかでも、50代以上の女性をターゲットにしたエイジングケア訴求の「地肌ケア」や、育毛を促進する「スカルプケア」を目的とした製品やブランドが好調のようだ。
薄毛といえば男性の悩みのように思われがちだが、実は女性の方が悩みは深刻なようだ。男性ならば短髪やスキンヘッドにもできるし、それがファッション的な魅力になることもあるが、女性の場合はそうはいかない。20代をピークに髪は徐々に細くなりはじめ、次第にボリュームを失っていく。更年期を迎える50代前後にもなると、仕事や家庭のストレスやホルモンバランスの乱れなどから、髪が痩せて元気がなくなり、見た目にも年齢を感じさせる大きな原因となってしまう。
これを未然に防ぎ、健康な毛髪を保つためには、皮脂分泌量の低下や頭皮の硬化などを起こさないよう、普段から頭皮の血流ケアを行うことが必要だ。
ヘアケア市場でも、ここ数年市場を席巻しているノンシリコンブームが一旦落ち着きを見せており、それに変わるものとして、メーカー各社がこぞって「地肌ケア」や「スカルプケア」を謳った商品を投入している。
例えば、近ごろ人気が急上昇しているのが「INZEALシャンプー」だ。INZEALシャンプーは、「ゼイン」というトウモロコシから抽出された非水溶性のタンパク質を配合し、最良質のアミノ酸系洗浄成分を使用しているノンシリコンのシャンプー。頭皮への負担が大きいといわれるラウリル硫酸やスルホン酸が未使用であることも大きな魅力となっているようだ。また、シリコンをはじめ、着色、鉱物油、パラベン、石油系界面活性剤、紫外線吸収剤、合成ポリマー、タール系色素、酸化防止剤などの化学成分を徹底的に排除して、頭皮の弱い人でも安心して使える、レッドビジョンの「マイナチュレシャンプー&コンディショナー」も、ネット販売などを通じて人気が高い商品だ。配合成分が29種も含まれており、育毛ケアにも最適だ。
また、山田養蜂場の「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」の人気が高まっている。同社が2000名以上の女性を対象に行ったアンケート調査によると、「毛髪に何らかの悩みや不安をもっている」と回答した女性は80.3%を占めていた。
この商品には、頭皮を潤し、育毛を妨げる過剰な皮脂の分泌を抑制する「ローヤルゼリーエキス」の他、頭皮の血行を促進して新陳代謝を活発にするとされる「タマサキツヅラフジエキス」、毛髪成長促進作用のある「グリチルリチン酸ジカリウム(甘草由来)」など、9種類の植物由来成分が配合されている。2012年の発売当初から医薬部外品の効果効能として、「育毛、養毛、薄毛・脱毛の予防などが認められていたが、今回リニューアルした商品には、新たに発毛・毛生促進などが加わった。同社広報によると、「自社の研究において、12ヶ月の使用で毛髪本数の増加が認められました。」とのことだ。
女性が若々しく元気であれば、日本も元気になるだろう。最新の地肌ケア、スカルプケア製品で、髪の悩みや不安を解消してほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)