トヨタ、「木」でつくったクルマのコンセプトカーを「ミラノデザインウィーク」出展

2016年03月04日 19:19

Toyota_SETSUNA

トヨタが「ミラノデザインウィーク」に出展する木製ボディのファニーカー「SETSUNA」

 トヨタは、4月12日から17日にイタリア・ミラノのトルトーナ地区(Via Tortona 31, Milan)で開催される、世界最大のデザインエキシビションで家具メーカーやファッションブランドが独自性をアピールするイベント「ミラノデザインウィーク2016」に、「木」でつくったクルマのコンセプトカーを出展する。クルマが家族の積み重なる想いを受け継ぎ、歳月を経て変わっていくことを愛でるという「人とクルマの新たなつながり」を、「木」を用いて具現化したコンセプトカー「SETSUNA」だ。

 「SETSUNA」は、一瞬「刹那」という短い時間の繰り返しのなかでかけがえのないものになっていく、という想いを込めて名付けたモデル名だ。クルマと一緒に過ごした時間や出来事を積み重ね、愛着を持って労わり手をかけて受け継いでいくことで、家族だけの新たな価値となっていくことを提案するコンセプトカーである。

 本コンセプトの具現化に適した材料として、外板やフレームなどに「木」を使っているのが、コンセプトカーの最大の特徴。「木」は、温湿度の変化などの環境や使われ方で色や風合いが変わっていく。それに伴っていくことで味わいや深みが増し、唯一無二の存在となる。さらに掃除や修理などの手をかけることで、世代を超えていつまでも使い続けることができる。「木」が持っているこうした特徴があるので、これまでのクルマに存在し得ない新しい価値観を持たせることができるという。

 コンセプトモデルは、2シーターのオープンカーで、4輪はボディ外に露出する。その露出したタイヤをサイクルフェンダーが覆い、ファニーで親しみやすいデザインとなった。ボディサイズは全長×全幅×全高3030×1480×970mm、ホイールベースは1700mmで、軽自動車よりも小さい。パワートレーンは電動モーターだという。

 「SETSUNA」の開発責任者である辻賢治は「コンセプトの表現方法についてさまざま検討を行うなかで、外板は杉、フレームには樺といった用途に応じた木材の選定をし、一つひとつのパーツの大小や配列にもこだわった。また、組み付け構造には釘やネジを一切使用しない、日本古来の伝統技法である梁(はり)や鴨居(かもい)をつくるときに用いる接合方法の「送り蟻」などを取り入れ、ボディラインは船のような美しいカーブを描くSETSUNAが完成した。

 さらに、「世代を超えて時を刻む100年メーターや、機能美と木の優しい色合いが融合したシートなど、歳月を経て輝きを増すSETSUNAのさまざまな表情を想像していただきたい」と出展への想いを語った。(編集担当:吉田恒)