子宮頸がんワクチン、救済措置申請わずか5% 申請に非協力的な医師も

2016年03月08日 12:29

画・子宮頸がんワクチン、救済措置申請わずか5% 申請に非協力的な医師も

子宮頸がんワクチンを接種した約338万人のうち、けいれんなどの副作用の疑いが約2,600人報告されている。ところが、「医薬品副作用被害救済制度」の申請は、昨年末の時点で約140件(5%)にとどまっていることがわかった。

 子宮頸がんワクチンを接種した約338万人のうち、けいれんなどの副作用の疑いが約2,600人報告されている。ところが、「医薬品副作用被害救済制度」の申請は、昨年末の時点で約140件(5%)にとどまっていることがわかった。

 この制度は、医薬品を適正な使用目的に従い適正に使用したにも関わらず、入院治療が必要な程度の疾病や日常生活が著しく制限される障害などの健康被害を受けた人の迅速な救済を図ることを目的とする。申請すると厚生労働省の判定により、自己負担分や通院・入院時の医療手当を月額35,000円程度、後遺症が残った場合は障害年金を月額18万?22万円程度が支給される。申請には医療機関の診断書などが必要だが、医師がワクチンの影響とみなさないことには診断書が出ない。

 接種や診断の責任が問われるのを懸念し、申請に非協力的な医師が少なくないという。国や自治体の周知不足もあり、申請に至らないケースが多いようだ。相談窓口である医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「副作用の場合、個々の医師に責任はない。医療機関にも救済措置の必要性を理解してもらい周知を徹底したい」としている。

 また、任意接種の場合は救済対象が申請から過去5年以内と定められているため、救済期限を過ぎる人が出始めている問題もある。約338万人の接種者の大半が定期接種化(2013年4月)以前に受けており、同省が都道府県を通じて申請の呼びかけを行ったが、伸び悩んでいるようだ。

 同ワクチンは、09年に販売が開始されるも、摂取後にしびれや痛みを訴える人が続出し、わずか2ヶ月たらずで積極的勧奨が中止された。ワクチンの有効性とリスクを科学的に評価する仕組みが脆弱であり、副反応の症状がワクチンによるものなのか明確に判断できず、不信感が生まれている。

 同ワクチンに限らず、予防接種の必要性については各所で議論されている。受けるのも受けないのも両方にリスクがあり、最終的には自己責任だと片づけられてしまう。リスクを天秤にかけることがいかに大切で難しいことなのか、今一度考える必要がありそうだ。(編集担当:久保田雄城)