豊作で国際的な小麦の相場が安くなったなどの要因から、農林水産省は9日、今年4月期(4~9月)の海外から輸入した小麦を製粉会社への売り渡す価格「政府売り渡し価格(主要5銘柄平均)」を、昨年10月期から7.1%引き下げて、1トンあたり5万2610円にするとの発表を行った。中国やオーストラリアなどの主産国が豊作のため、世界的に在庫や供給量が潤沢となり、国際的な小麦の相場が下落したことを反映させた。
政府売り渡し価格は半年ごとに見直しが行われており、こうして引き下げが行われるのは2期連続のこととなる。海外産の小麦は政府が一元的に輸入し、農水省がマークアップ(輸入差益)と呼ばれる事実上の関税を上乗せした上で、製粉会社に売り渡している。主な輸入先はアメリカ、カナダ、オーストラリアなどで、輸入量は年間約500万トンとなっている。そして農林水産省は来月以降の政府売り渡し価格について、アメリカ産やカナダ産などの5つの銘柄の平均で1トンあたり5万2610円にするとした。農林水産省は今回の政府売り渡し価格の引き下げについて、前期と比べて小麦自体の価格とともに、原油安で海上運賃が下落し、円高も重なったためと説明している。
主要5銘柄のうち、パンや中華麺用の3銘柄は7.1%引き下げて5万1620円とし、うどんや菓子用の2銘柄も7.1%引き下げて5万4620円とする。なお、農林水産省はパンや麺などの小麦粉関連製品に占める原料価格の割合は少なく、今回の引き下げが生活に与える影響は限定的なものではないかとの認識を示している。パンや菓子メーカーが価格を改定するのは、在庫の関係上6~7月ごろになるものとみられる。
2012年10月以降、国際的な相場の上昇や円安進行の影響などにより、政府売り渡し価格は上昇傾向にあったが、前回見直しが行われた昨年10月は、国際的な相場が下落したこともあり、5.7%引き下げて1トンあたり5万6640円となっていた。そして今回も引き下げが行われ、これで2期連続の見直しとなった。(編集担当:滝川幸平)