外国人観光客の急増により、全国各地でホテル不足が深刻化している。北海道も例外ではなく、運輸局は道内のホテル不足解消を図るべく、道内と本州を結ぶ長距離フェリーの活用を始めるという。
道内では、中華圏の旧正月にあたる春節などの繁忙期になると、ホテルの確保が難しくなり、個人客や旅行会社が北海道観光を諦めることが珍しくない。フェリーであれば、寝ている間に移動できるため、移動時間が無駄にならず、宿泊施設が足りない問題もクリアできる。現状では、フェリーを組み込んだ外国人向けツアーが少ないため、まだまだ伸びしろがあり、売り込み次第で注目を集めることができるかもしれない。
近年、フェリー会社が設備投資に力を注いでおり、豪華ホテルさながらの設備を整えたフェリーが増えている。ラウンジやレストランを備え、充実したサービスが期待できそうだ。
商船三井<9104>は、苫小牧・大洗間を運航する「さんふらわあ」の夕方便2隻の代替船を建造し、2017年に就航する予定だ。また、北海道クルーズ振興協議会の発表によると、今年の客船における道内寄港回数は、前年比+47.8%の延べ102回となる見込みで、日本船、外国船ともに前年を大幅に上回ることになりそうだ。
しかし一方で、残念なことに「揺れが激しい」「所要時間が長い」というイメージが払拭できていない。貨物の利用が堅調の中、旅客の乗船率は平均2、3割ほどである。さらに、フェリーターミナルへのアクセスの悪さ、外国語の対応などの課題があり、一筋縄とはいかなさそうだ。
道内と本州を結ぶ300キロ以上の長距離フェリーは、苫小牧・大洗間、仙台、秋田の各航路、小樽・新潟航路などがある。所要時間は10?19時間程度で、到着時間は出発の翌日午前から午後。多くの時間を海の上で過ごす必要があるが、設備やサービスによっては旅の目玉の一つになるだろう。
今後は運輸局の呼びかけで、フェリー会社と旅行会社が集まって検討会議を行い、残された課題の洗い出しや船内設備などの情報共有を図る。(編集担当:久保田雄城)