木星の強力なオーロラは太陽風が巻き起こす

2016年03月27日 20:26

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の惑星分光観測衛星「ひさき」は、米国航空宇宙局(NASA)のチャンドラX線望遠鏡、欧州宇宙機関(ESA)のXMMニュートンなどと協力し、木星のX線オーロラ(X線波長域で観測されるオーロラ)の空間構造とその時間変化を捉えることに成功した。

 木星のオーロラは地球のオーロラとは比べものにならないほど激しく大規模な現象で、電波、紫外線、X線等の多くの波長帯において地球のオーロラよりも百倍以上明るく光っている。「ひさぎ」は木星における太陽風との関連が強いオーロラを観測し、太陽風変動のタイミングとの関係を見積もった。チャンドラX線望遠鏡では木星直径を100分割できるほどの高解像度で観測を行い、XMMニュートンの分光観測からは、木星の衛星イオの火山ガスや太陽風に存在しうる酸素原子がX線を放射していることが確認できた。

 X線オーロラは光速に近い速度の酸素や硫黄のイオンが木星大気に衝突して発光すると考えられていたが、イオンが光速近くまで加速されるメカニズムは解明されていなかった。これについては2つの仮説があり、1つは地球のオーロラのように太陽風の影響で加速されるというもの、もう1つは、木星の高速自転と木星自身がもつ磁場及び木星の衛星イオから供給されるプラズマによって加速されるというものだった。

 今回の観測で、太陽風の速度と木星オーロラの強度が深く関わり合っていることがわかった。さらに、X線オーロラを貫く磁力線は木星磁気圏と太陽風の境界面に繋がっていることも判明した。これらのことから、X線オーロラは地球のオーロラと同様にイオンが太陽風の影響で加速されて発生している可能性が高いことを示唆していると結論付けている。JAXAでは、「今後さらに観測を進め、X線オーロラの全貌に迫っていきたい」と話している。(編集担当:城西泰)