トヨタ、ベトナムで「トヨタ安全運転インストラクター養成プログラム」実施

2016年04月03日 19:31

Toyota Instructor

クラクションが鳴りやむことのないハノイのスクランブル交差点。昨年、ベトナムでは、2万3000件の交通事故が発生し、8671人の方が命を落とすという厳しい交通事故状況となっている

 トヨタは交通事故の無い社会を目指して、交通安全を実現するため、各国でさまざまな社会貢献活動を行なっている。

 事業開始から20周年を迎えたベトナムトヨタでは、ベトナム公安省の交通警察局と共同で「トヨタ安全運転インストラクター養成プログラム」を実施し、ベトナム初となる8名の安全運転インストラクターを育成、公開した。

 ベトナムでは2015年、約2万3000件の交通事故が発生し、8671人の方が命を落とすという厳しい交通事故状況となっている。そこで、ベトナムトヨタは、現地警察と一体となって、ベトナムのドライバーに安全運転の知識や技術、さらに安全の心を伝える「安全運転インストラクター」の養成に着手した。

 トヨタ自動車は、訓練内容についてのアドバイスや講師の派遣など、プログラム全般を支援。ベトナムトヨタ社員と交通警察官から選抜された8名がインストラクター養成プログラムに参加し、2014年8月から1年以上にわたる訓練を実施した。

 専任の講師は、トヨタ自動車でテストドライバーや安全運転インストラクターとして30年以上の経験を持つ神野氏で、運転姿勢、ステアリング操作などの基礎から、緊急回避ブレーキやスラローム走行など3S走行(Safety, Smooth, Speedy)中心に高度な運転技術の訓練を実施した。加えて、クルマの構造を理解する重要性や安全に対する心構えについても講習した。

 二輪車が移動体ろして主流のベトナムでは、訓練生たちは全員、マイカーを保有していない。そのため、この講習以外にクルマに乗る機会が殆ど無かった。そのため安全運転スキル習得には、各自大変な苦労したという。毎日アフター5に会社内の駐車場で業務用車を使い訓練の復習をしたり、イメージトレーニングをしたり、日本人では想像できない努力を行なった。

 訓練は運転実技以外にも、トヨタ自動車から講師を派遣し、日本で実施している反射材やチャイルドシートの重要性、飲酒運転の危険、加齢に伴う身体変化など、交通安全に関わる幅広い知識を体験ツールで伝授した。加えて、安全な運転の基本的な教え方もマスターしていった。講習は日本語からベトナム語に通訳され、優秀な通訳の方のお陰で活発な質疑応答となったという。

 講習に参加したベトナムトヨタのトゥロングさんは、「交通事故防止は、お年寄りやこどもの行動を理解し、常に思いやりの心を持ち、運転することなど多くを学びました。今後自分が教えていく立場として、教えていただいたことをしっかり伝えていきたいと思います」と講習後に述べた。

 今回のプログラムでは、2014年8月から2015年10月までに5回の講習会が開催され、2016年3月9日にはインストラクター認定試験が行なわれた。運転技術については、高速のタイムトライアルテストで3Sの習得の見極め、交通安全知識、マインド、交通安全の啓発の指導方法は、自身がインストラクターを務める模擬講習の形式での試験を実施。これまでの努力が実り、8名全員が無事合格。

 3月11日には、卒業式典が開催され認定証が授与され、列席したベトナム公安省のタン副大臣、トヨタ自動車の小平副社長ら関係者がインストラクターに対して、「交通安全の心をこれからベトナムに広めていってほしい」と期待を述べていた。より安全な交通社会を築くための彼らの活動は、今始まったところ。