東証が発表した22~25日の週の投資主体別株式売買動向によると、外国人は12週連続の売り越しで売越額は2042億円。その前の週の4579億円からほぼ半減し、金額は2週連続で大幅縮小。個人は3週ぶりに売り越しに転じ、売越額は205億円。信託銀行は18週連続の買い越しで買越額は1831億円。その前の週の181億円から大幅に増加した。外国人と個人の売り越しを合わせても2247億円で、信託銀行の買い越しとのバランスが良くなっていた。
3月25日時点の需給データは、信用買い残は反転して18日時点から262億円減の2兆6789億円。信用倍率(貸借倍率)も4.19で18日の4.75から反転した。裁定買い残は1368億円増の2兆2288億円で4週連続で増加した。信用評価損益率はマイナス10.92%で、18日時点のマイナス10.91%とほぼ同じで今年最低水準。信用取引の需給がやや悪化しても、需給改善のトレンドに変わりがなかった。しかし需給は、前週の権利確定イベント、年度末超えの際に大きな変化を起こしたと思われる。
その前週のカラ売り比率は、3月28日が39.7%、29日が35.8%、30日が38.4%、31日が40.4%、4月1日が42.9%で、年度末をはさんだ大幅安の両日は40%オーバーの「異常時」に戻っていた。前々週末の3月25日は23.06だった日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は、3月31日に22.71まで下がったものの、4月1日の終値では26.96にはね上がっている。
テクニカル指標は全般的にみて「1日に急に売られすぎた」ことを示し、3月30日までおおむね改善をみせていた需給は31日、1日の年度末をはさんで急速に悪化した。この4月1日の594円安を「魔がさした特異日」とみるか、それとも「年度変わりの需給トレンドの転換」とみるか。それはたった1日だけの結果では判断できない。
1日発表のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが21.5万人で市場予測を1万人上回り、完全失業率が5.0%で市場予測より0.1ポイント悪く、平均時給の伸びが0.3%で市場予測を0.1ポイント上回るという、全体に良くもなく悪くもない数字。ISM製造業景気指数は50台を回復し51.8で市場予測を1.1ポイントも上回り、雇用指数は低下したがポジティブな結果だった。それで1日のNYダウ終値は107ドル高。しかし為替は111円台半ばまでドル安円高が進行し、CME先物清算値は16160円だった。
そんな状況を受けての今週は、4日は明確に「売られすぎ」だった1日の反動である程度の自律反発が見込め、中国市場が清明節の休場でその邪魔が入らないものの、5日と6日はご存知、SQ週の火曜日、水曜日の「鬼門」。マイナーSQだからといって油断はできない。景気ウォッチャー調査はマイナーSQ日の週末8日で、国内も海外も重要な経済指標、イベントが少ない週なので、日経平均の値動きは「テクニカルvs.需給」の様相を呈するだろう。もし需給要因の売りが4月1日に限られた現象だったらテクニカルの勝ちで上昇、長引くようなら需給の勝ちで下落という、そんな綱引きになりそうだ。
それでも、1日に下値のサポートラインになっていた一目均衡表の雲の下限は、今週は16218円から16371円に上昇してくる。4日に自律反発でうまく16200円台に乗れば、雲の下限のサポートが受けられる。16144円にはボリンジャーバンドの25日線-2σもあり、SQ週の鬼門にさいなまれても、今週の下値は終値では16100円程度で止まるのではないか。もし、終値で16000円割れを起こすような事態になったら、パラダイム・シフトとまではいかないが、東京市場の需給のトレンド転換とみていい。それはあからさまに言えば、アベノミクスが見限られての「日本売り、海外投資家総退却」だ。
一方、今週の上値は、テクニカル的な自律反発だけで届くのは3月のメジャーSQ値16586円程度までで、それに政策や円安の進行のような何らかのポジティブ要素が加わることで、1日時点で16804円だった25日移動平均線が回復できると思われる。SQ週で需給に不安がある中、そこまで上昇できれば上々の出来だろう。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16100~16800円とみる。「シジフォスの石」は、その落とされ方がどんなに不条理でも、気を取り直してまた、上り坂を転がして持ち上げていくしかない。(編集担当:寺尾淳)