【今週の展望】円高への耐性がついたら乱高下もしなくなる?

2016年04月10日 20:19

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病気が慢性化したら生活習慣を改善して、病気とうまく付き合っていくことを考える。円高の勢いがおさまって慢性化したら、円高とうまく付き合っていくことを考える。

 改めて確認すると、前週末8日の終値は15821.52円だった。テクニカル・ポジションでは、移動平均は全てその上にある。近い順番に5日線が15828円で7円上にあり、25日線16690円、75日線16986円は日足一目均衡表の「雲」の中にある。200日線は18478円で、ボリンジャーバンドの25日線+3σよりもさらに遠い「別の恒星系」にある。

 日足一目均衡表の「雲」は16371~17367円。今週は雲の上限が11日の17367円から12日に16981円に下がり、週末までそのまま一定だが、雲の下限は16391円、16417円、16407円、16320円と動く。16000円にたどり着けば雲の下限も近くなる。「雲」はこの先、4月25~26日には「変化日」と言われる「ねじれ」を演じる。位置は16500~16600円台で、しいたげられた日経平均が一気に雲の上の世界に出るチャンス。その時、雲が二つに割れたそのすき間を「約束の地」に導いてくれる要素は、現れるのだろうか?

 ボリンジャーバンドでは、8日終値は25日線-2σの15731円と-1σの16210円の間にあるが、その下寄りで「下値限定、上値はけっこう追っていける」という位置だ。

 オシレーター系指標は「売られすぎ」シグナルが3つ点灯している。-5.5%で、売られすぎ基準の-4%を下回る25日移動平均乖離率(売られすぎ基準が-5%であっても売られすぎ圏内)と、-87.4で売られすぎ基準の-50を下回っているRCI(順位相関指数)、それに12.3で売られすぎ基準の30を下回っているストキャスティクス(9日・Fast/%D)である。それ以外は、サイコロジカルラインは4勝8敗で33.3%、ボリュームレシオは35.7、RSI(相対力指数)は29.9、25日騰落レシオは92.9で、おおむね売られすぎ基準に接近した低位にある。

 需給データは前々週を境に大きく変化している。前週はその悪化が自律反発の頭をおさえつけて7日続落を喫した。

 東証が発表した3月28日~4月1日の週の投資主体別株式売買動向によると、外国人は13週連続の売り越しだが売越額はその前の週の2042億円から79億円に激減。個人は売り越しから買い越しに転じ買越額は1107億円。信託銀行は19週ぶりの売り越して売越額は581億円。一時は1兆円を超えていた外国人の売り越しが売り買い均衡点に接近し、信託銀行が今年初めて売り越したように、年度末で需給の流れは明らかに変わった。

 1日時点の需給データは、信用買い残は25日時点から766億円増の2兆7555億円と反発。信用倍率(貸借倍率)も4.19から4.95に急増した。裁定買い残は5週ぶりに減少して1844億円減の2兆444億円。信用評価損益率はマイナス13.15%で、25日時点のマイナス10.92%から2.23ポイントも動いた。これら4つの数字も権利確定イベントと年度末を越えて需給が大きく変化したことを示す。

 それは前週4~8日のカラ売り比率にもあらわれた。4日が41.8%、5日が41.4%、6日が42.6%、7日が41.8%、8日が39.9%で、40%オーバーの「異常」が再び定着しそうになったが、マイナーSQの金曜日はわずかに下回った。

 年度末の3月31日は22.71、4月1日は26.96だった日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は8日終値は27.54だが、4日の月曜日にザラ場で30をオーバーするなど、この指標も前週は乱高下した。「恐怖」の度合いは4月に入って増している。「4月は残酷な季節」なのか?

 年度変わりを境に東京市場の需給が3月とは様変わり。前週はそれにSQ週の要素や外部要因の悪化が加わり、トレンド系指標やオシレーター系指標がいくら日経平均の底値を示し、売られすぎシグナルを出しても、需給が悪すぎてそれに流されてしまい、自律反発が弱々しいまま推移した。

 それでも8日の東京時間にはドル円108円台の円高に負けずに日経平均が16000円にタッチする場面があり、8日のNY時間でもドル円が108円を割りそうになりながらCME先物清算値は15775円だった。円高への耐性がついたように見えた。たとえて言えば、円高という病気の発作に突然、襲われて救急車で入院し、最初は高熱を出し脈拍や血圧が乱高下してピンチだった患者が、時間の経過とともに容態が安定してきたようなもの。円高に順応して株価の反応もマイルドになっていく。人間が、病気が慢性化したり持病になったりしたら病気とうまく付き合っていくことを考えるように、円高の勢いがおさまって慢性化したら、円高とうまく付き合っていくことを考える。今週はそんな時期になっている。

 今週の為替レートが前週と変わりなくドル円107~109円台だと仮定しても、SQ週だった前週はきつかった需給の下げ圧力が若干でも弱まれば、自律反発で上昇できるレンジが大きくなる。前週は16027円止まりだったが、今週はもっと上を目指せるだろう。その上値のメドとして考えられるのが日足一目均衡表の「雲」の下限で、今週は16320~16417円の間で動く。雲の下限の抵抗帯を抜ければ3月SQ値16586円を通過して25日移動平均線に届くが、そうなるにはドル円が110円台に乗せるような円安が前提条件だろう。

 一方、下値のほうはテクニカル指標を見ると限定的。8日算出の4月のSQ値15507円は、その日の午前9時台には下に突破されてしまい、株価を下支えする良い方の「まぼろしのSQ値」になれなかったが、SQ値を下回った時間は数分間だけだった。惜しかったので「準まぼろし」とみなし、これが今週の下値のサポートラインになると想定する。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは15500~16400円とみる。糖尿病でも狭心症でも、生活習慣を改善して、持病とうまく付き合って長生きしている人はたくさんいる。東京市場はショッキングな急性期を通過した後、元に戻らずに慢性化しそうな〃円高病〃と、うまく付き合っていけるだろうか? 今週はその試金石である。(編集担当:寺尾淳)