【今週の振返り】自律反発は需給悪化に勝てず342円下落の週

2016年04月09日 20:26

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3月28日は113円台だったドル円は、4月7日夜には107円台まで円高が進行。その間、日経平均は7日で1419円下落。続伸は、パンドラの箱の最後の希望なのか?

 4日の日経平均は5営業日続落。前週末1日のNYダウは107ドル高。注目のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが21.5万人で市場予測を1万人上回り、完全失業率が5.0%で市場予測より0.1ポイント悪く、平均時給の伸びが0.3%で市場予測を0.1ポイント上回るという良くもなく悪くもない数字。ISM製造業景況感指数は50台を回復する51.8で市場予測を1.1ポイント上回りポジティブな結果だった。それでも4月利上げ説は蒸し返されず、為替は111円台半ばまでドル安円高が進行し、CME先物清算値は16160円。4日朝方の為替レートはドル円が111円台後半、ユーロ円が127円台前半。

 東京は花散らしの雨の月曜日。「黒田バズーカ第1弾3周年」の日経平均は76円安の16087円で始まる。TOPIXは1300割れで開始。9時5分に16029円まで下げるが、16000円は割り込まず序盤は上下に振れながら徐々に上昇。TOPIXは1300台を回復してプラス浮上。少し遅れて日経平均もプラスに転じ16200円を超えた。これが自律反発というもの。しかし乱高下気味で、9時38分に16238円まで上昇したかと思えば10時ちょうどにマイナス圏の16130円付近まで下落し、10時30分までに再び16200円台に乗せる。強気と弱気、自律反発と先物売り、テクニカル要因と需給要因のマッチプレー。上海、香港は台湾とともに「清明節」で休場。火曜、水曜は別の鬼もいるが「鬼の居ぬ間に洗濯」。しかし前場は安定せず何度もマイナスに押し下げられては反発するの繰り返し。それでも前引けは33円高の16197円とプラスで、TOPIXは日経平均を上回る上昇率だった。

 後場は前引けより30円ほど高く始まるが、その後はズルズル下げる。0時台のうちに16200円も1日終値も16100円も割り込んだところで止まり、1時台はおおむね16100円台前半のマイナス圏で推移。TOPIXはマイナスの時間帯が少ないので、日経平均先物の指数プレイの色彩が濃い。大引け後に国内ユニクロ既存店売上高の発表を控えたファーストリテイリング<9983>が軟調だと、日経平均は不安定になる。2時前からは16100円も下回るようになり、為替のドル円も円高方向に振れ日経平均は16000円台をかろうじて維持し、TOPIXともども自律反発分がそげ落ちる。終盤は16100円台に戻すのが精いっぱいで40円安で終えたが、TOPIX、JPX日経400は5営業日ぶりの反発で終了した。北米での新車販売が伸び悩んだトヨタ<7203>の年初来安値更新も悪かったが、指数プレイに振り回された一日だった。

 日経平均終値は40.89円安の16123.27円、TOPIX終値は+1.31の1302.71。売買高は20億株、売買代金は2兆896億円。値上がり銘柄数は1251で値下がり銘柄数600の2倍以上あった。プラスは24業種で、その上位は水産・農林、食料品、医薬品、陸運、鉄鋼、パルプ・紙など。マイナスは9業種で、その下位は輸送用機器、ゴム製品、証券、ガラス・土石、その他金融、非鉄金属など。上海市場は休場。

 5日の日経平均は6営業日続落。週明けのヨーロッパ市場は揃って小幅高。NYダウは55ドル安。労働市場情勢指数(LMCI)はプラスの市場予測を裏切りマイナス2.1。2月の製造業受注は原油価格がボトムだったため-1.7%。3月のISM指数は原油価格の底打ちで上昇したが、この日の原油先物価格は35ドル台に下落し約1ヵ月ぶりの安値だった。それでもFOMC投票権を持つボストン連銀のローゼングレン総裁が「市場予測は悲観的すぎる」と早期利上げをほのめかし、アメリカの長期金利は低下。ドル安が続き朝方の為替レートはドル円が111円台前半、ユーロが売られユーロ円は126円台後半。CME先物清算値は16095円だった。

 ロシアのプーチン大統領など世界の要人がタックスヘイブンで資産運用した「パナマ文書」が暴露されるという映画のような話が飛び出す。ファーストリテイリングの国内ユニクロ既存店売上高は前年同月比0.3%減で3ヵ月ぶりのマイナス。客数は8.6%減でさらに深刻。3月後半に気温が上がらず春物が売れなかったため。今年の春は関東では桜が咲いてもポカポカ陽気にならず、朝晩は冷える。

 日経平均は79円安の16044円で始まる。TOPIXは1300割れ。9時に2月の毎月勤労統計速報が発表され、現金給与総額は+0.9%、実質賃金は+0.4%と悪くなかった。しかし16000円台は序盤の10分足らずだけで、その後は3月1日以来の16000円割れ。続いて9時30分すぎに15900円も割り込み、これも3月1日以来。ご存知の需給悪化イベント、SQ週の火曜日の「鬼門」。夜店の鬼の人形の胸に先物主導の指数プレイのボールが命中し、ドル円は111円を割り込み、ファーストリテイリングは4ケタ安になり、鬼は咆哮しながら金棒をフルスイングして東京市場を無残に破壊する。賞品はもらえない。9時39分には15830円まで下落。15900円をなかなか超えられず、10時台はおおむねその少し下のレンジで小動き。上海市場は小幅マイナスでスタートする。10時45分頃からは上海の下落、円高の進行に伴って安値更新が続き、15800円を割り込んで11時9分に15758円まで下げる。前引けは353円安の15769円で、TOPIXはほぼ安値引け。

 上海市場はプラス幅を拡大して午前の取引を終え、後場の日経平均は前引けより約80円高い15800円台の水準で再開する。15800円を割っても一時的で、値動きは小さくなる。2時に上海市場が1%を超えるプラスで再開しても、SQ週の火曜日の鬼はそのまま終わらせてくれない。銀行セクター総崩れに加えて2時台はソフトバンクG<9984>まで上げ幅を圧縮し日経平均は再び安値更新を繰り返す。2時35分に15700円も割り込んで15698円の安値をつける。年初来安値の3営業日後の2月17日以来の水準。ぬかるみにまみれる東京市場を横目に上海は涼しい顔で徐々に上昇を刻んでいく。終盤は少し持ち直し390円安の15732円で終了し、2月12日以来の安値。TOPIXは大幅に反落した。

 新規IPOが1件。住関連産業に関わるASPシステム、事業ノウハウなどのソリューション提供を行うハイアス・アンド・カンパニー<6192>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず公開価格950円の2.3倍の2185円の買い気配で終了し、初値を翌日に持ち越した。ほとんど唯一の明るい話。

 日経平均終値は390.45円安の15732.82円、TOPIX終値は-34.34の1268.37。売買高は22億株、売買代金は2兆2797億円。値上がり銘柄数はわずか43、値下がり銘柄数は1896。全33業種がマイナスで、下位は銀行、鉱業、証券、海運、石油・石炭、ゴム製品など。上海総合指数は1.44%高だった。

 6日の日経平均は「アベノミクス相場」最長の7営業日続落。インドが利下げ。ヨーロッパ市場は軒並み安。NYダウは133ドル安。ISM非製造業景況感指数は+1.1の54.5で5ヵ月ぶりに上昇し市場予測を上回ったが、貿易赤字は市場予測より悪い2.6%拡大。FOMC議事要旨待ちもありダウは終始大幅安だった。原油先物価格はほぼ横ばい。法人税改革を打ち出したオバマ大統領は「パナマ文書」にも言及したが、北欧の島国アイスランドではこの問題で首相が辞任した。安倍首相が「過度な通貨安は避けなければならない」、IMFのラガルド専務理事が「世界の経済成長はなおぜい弱でリスクが増大している」と発言。為替のドル円は一時109円台になった。これは「黒田バズーカ第2弾」が撃たれる直前の2014年10月末の水準。要人発言だけでなく「パナマ文書」も効いているようだ。朝方のNYダウは110円台前半、ユーロは急落しユーロ円は125円台半ば。CME先物清算値は15615円だった。