いずれ教師は不要に? AIが生徒と対話する学習システムとは

2016年04月15日 09:13

 人工知能(AI)の進化はとどまるところをしらないが、教育の現場にまで進出がはじまった。すららネットは、慶應義塾大学と共同で、クラウド型学習システム「すらら」にAIを用いて生徒と対話する機能「AIサポーター」を搭載し生徒のモチベーションへの影響を調査する共同研究を開始する。

 今回の研究は、クラウド型学習システム「すらら」にAIが生徒の学習データに基づき先生の替わりに生徒と対話を行う機能「AIサポーター」を搭載し、3つのグループに分けた生徒群に対し、それぞれ異なる種類の対話を行い、生徒のモチベーションに与える効果について、教育経済学を専門とする慶応義塾大学 中室牧子研究室と共同で検証するもの。

 AI機能はNTTドコモのシナリオ対話および雑談対話のシステムを用いて、学習開始時や1ユニット終了時に生徒に声掛けし、生徒とテキストで対話します。実験期間は2016年4月24日~10月23日までの6カ月間で、全国150名程度の「すらら」利用者を対象に実施予定。

 「AI サポーター」は、ICT教材でも珍しく、生徒の個々の学習行動に応じて、人工知能が対話を行う機能を備えており、先生のフォローが行き届かない場合でも生徒個人に合わせた声掛けと対話を行うことが可能。また、AIなので、先生や生徒自身ではなかなか気付かない生徒の学習行動を察知し適切なフィードバックをすることができ、生徒のモチベーションを高めることに繋がると考えているという。

 すららネットでは、共同研究の結果を用いて、教育現場において役立つノウハウ構築に活用するとともに、今後「すらら」に搭載する AI 機能の開発・運用にあたっての知見としたいとしている。

 クラウド型学習システム「すらら」とは、小学校高学年~高校3年生までの学習指導要領に準拠しており、英語・数学(算数)・国語に対応する。利用者数は約3万名(2015年4月末現在)である。1 つの単元は10から15分程度で、小さな階段を少しずつ上るような構成になっており、しかも授業は一方的ではなく、随所で先生役のキャラクターが問いかけを行い、問題に答えていくというインタラクティブスタイル。そのため、飽きることなく、適度な緊張感を持続し、楽しみながら学習を進めていくことが可能だという。

 また、一人ひとりの理解度に応じて出題される問題の難易度を調整する「出題難易度コントロールシステム」を搭載。「簡単すぎず難しすぎない」問題が出題されることで、達成感を感じ自信を深めながら、学習を進めることが可能に。また、何がわからないから問題が解けないのか理由を探る「弱点自動判別システム」も搭載している。

 さらに、いつまでにどこまでの学習をするかといった「月1回の目標設定」や、つまずいているところがないか「週1回程度の電話やメールでの進捗確認」など、継続して取り組めるよう現役塾講師がフォローする。また、クラウド型学習だからこそ、学習内容や正答率・解く速さなども詳細に把握できるので、一人ひとりに応じたきめ細やかな学習指導が可能である。

 このままいくと、AIやバーチャルの教師が現実の教師に取って替わる日も近いかもしれない。(編集担当:慶尾六郎)