最先端の電圧降圧技術。ハイブリッド車でみる技術革新の裏側

2016年04月24日 19:21

New Prius E

自動車購入の際の検討要素として、今や「ハイブリッド」は欠かせないものになりつつある

 自動車購入の際の検討要素として、今や「ハイブリッド」は欠かせないものになりつつある。しかし、ハイブリッドと一口にいっても、様々なタイプが存在するのをご存知だろうか。

 世界的なヒット商品となったプリウスで日本のハイブリッド自動車を牽引するトヨタ<7203>や、独自のハイブリッドシステムを展開するホンダ<7267>などは、大容量・高出力バッテリーを搭載し、エンジンを停止した状態でも蓄積した電気で走行できる「ストロングタイプ」といわれるハイブリッド車を主力にしている。一方、スズキ<7269>やマツダ<7261>は、エンジンを主要動力源として使用し、比較的小型の電池とモーターでエンジン駆動時をアシストする「マイルドタイプ」と呼ばれるハイブリッド車の開発に力を注いでいる。

 現状、日本国内の評判ではストロングタイプに軍配が上がるようだが、マイルドタイプはシステムがシンプルで、メーカーの開発も比較的容易で割安でできるという利点があり、ヨーロッパを中心に需要が拡大している。さらに近年、これまでの12Vシステムから、より低コストで高いCO2削減効果が期待できる48Vマイルドハイブリッドへの移行が進んでおり、それに伴って、日本国内の市場でも今後、注目度が高まるとみられている。

 ただし、48Vマイルドハイブリッドの普及には解決すべき大きな課題があった。それは48Vから一般的な車載用MCUや制御システムを駆動させるために必要な3.3Vや5Vに直接降圧可能なDC/DCコンバータICが存在しないということだ。使用するためにはこれまで、12V等の中間電圧をつくって2段階で降圧する必要があったのだ。

 「あった」と過去形で書いたのは、すでにその技術が確立されたからだ。先日、日本の電子部品大手・ローム株式会社<6963>が業界で初めて、IC1つで安定降圧が可能なDC/DCコンバータIC技術を確立した。その技術を用いた製品「BD51180 TL」の開発を進めており、同社では年内のサンプル出荷を目指している。これが製品化され、普及すれば、システムの小型化や更なる高効率化を実現でき、ハイブリッド車の勢力図が大きく変わる可能性があるそうだ。

 このような日本の技術がハイブリッドの新しい可能性を切り拓き、自動車の更なる高効率化に貢献することで、市場の活性化につながることを期待したい。(編集担当:石井絢子)