【今週の展望】もし18000円の大台にタッチしても後が怖い

2016年04月24日 20:31

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FOMCは利上げ見送りの公算大だが、日銀会合は追加緩和実施という見方が有力。28日後場は好感して上昇するのか?それとも失望して急落するのか?

 東証が21日に発表した4月第2週(11~15日)の投資主体別株式売買動向によると、外国人は2週連続の3848億円の買い越しで、個人は3週ぶりにの3465億円の売り越しに転じ、信託銀行は2週連続の891億円の買い越しだった。全体的には買いが優勢。

 前週18~22日のカラ売り比率は、18日は39.7%、19日が35.0%、20日が35.9%、21日が32.9%、22日が34.3%と、30%台のまま週末にかけて低下している。この調子ならよほどのことがない限り、今週は40%台には戻らずにすみそうだ。一方、前週の日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は30をオーバーした日が3日もあり、15日終値26.66に対し22日終値は29.09と上昇している。この指標は投資家の不安心理を反映するので、熊本地震の影響は避けられない。

 総じて言えば、前々週から前週にかけて需給は明らかに改善している。前週はザラ場中、日経平均が突然、先物主導で為替の円高を伴いながらドンと急落する「ゲリラ急落」の現象がほとんど起きずに安定していたが、それは需給面で波乱を招くような要素が払拭されていたためだろう。そんな地合いでは、先物売りを仕掛けても不発に終わる。やってもムダだと思ったら、相手も仕掛けなくなる。そんな穏やかな時期が、やっとめぐってきた。

 それでも今週は4連騰の後なのでテクニカル指標からみて「上値限定」を意識せざるを得ない。前週、25日、75日の移動平均線も雲の上限もゴボウ抜きした勢いで「一気に18000円タッチ」というのは調子に乗りすぎているように思える。

 ところが、22日のNYダウ終値は21ドル高で18000ドル台に復帰し、為替のドル円は111円台の後半までドル高円安が進み、CME先物清算値は17740円だった。25日の東京市場が影響を受けないはずはない。「株式市場は常に行きすぎる」(クロード・ローゼンバーグ)という言葉もあるように、株価が大幅高になると、それまで冷めていた投資家も群がってきてワルノリ気味にオーバーシュートすることがある。年初から円高に苦しめられたので、111円台の円安はそんな現象にスイッチを入れる可能性が高い。25日の「18000円タッチ」は、もはやジョークとは言えないだろう。

 だが、ワルノリすると、その後が怖い。

 まず、「雲のねじれ」が起きる25日、26日はテクニカル的に要注意。週末の28日も、さまざまな要素が複雑に交錯する「何が起きるかわからない日」だ。月末のドレッシング買いよりもGW前の手じまい売りのほうが優勢と思われ、それ以外に日銀会合の結果発表という大きな不確定要素があり、国内の経済指標ラッシュも油断できない。もしも日銀会合の結果が「金融政策現状維持」だったら、22日後場にそれにからむ観測報道で株価が先取りしてしまっているので、28日後場は失望とともに、為替の円高を伴う苛酷な先物主導の下落が起きる恐れがある。

 3月期決算の発表シーズンが本格的に始まった。業績見通しの修正発表もあり、新聞には主要銘柄の業績観測記事が連日掲載されている。これもまた、不確定要素をはらんでいる。小売業の2月期決算もそうだったが、売上高は増収、営業利益は増益でも「減損損失で特別損失を計上して最終利益は減益」というパターンが前期の決算のトレンドのようになっている。だから第3四半期までの業績がいくら好調でも本決算は油断できない。今期の業績見通しも想定為替レートの円高修正や熊本地震が影を落としそうだ。もし「前期最終利益は計画未達、今期見通しは市場予測を下回る」ような決算を発表したりしたら、マーケットはその銘柄に見切り売りの毒牙をむき出しにして襲いかかるだろう。2006年3月期から減損会計が強制適用になったのだから、それはしかたがないこと。

 日経平均VIを見ても不安心理が残っている上に、日銀会合も、経済指標も、企業決算も、GW直前の需給動向も、買われすぎに傾いたテクニカル指標も、もちろん為替や原油先物価格や海外株式市場など外部環境も、みんな不確定要素に満ちている。好調なNYダウも、企業決算がいくら良くても原油先物価格が下落したら、真っ黒に塗りつぶされる。

 だから下値はどうしても、日足一目均衡表の「雲」のサポートを受けられるその上限までの下落を考えておきたい。今週は25日と26日の間で雲がねじれた後、上限は16697円で固定される。もし、不確定要素がボロボロと悪いほうに傾いたりしたら、「雲の中に逆戻り」も覚悟しなければならないだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16700~18000円とみる。22日は3日続伸の後でしかも金曜日なので一服して小幅安で終わってもおかしくなかったが、結果は大幅上昇で高値引け。その要因が要人発言ではなく「ブルームバーグの観測報道」だったというのが、いかにも「砂上の楼閣」を連想させて悲観的にさせる。みんなブルームバーグを信じているのか? それとも、信じたいだけなのか? フランスの社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボンいわく「群衆は市場を動かす」(編集担当:寺尾淳)