春を迎え、新入社員たちの中には「思っていた会社ではなかった」と”求人詐欺”に騙されたことがわかったり、過重労働を課す”ブラック企業”であることに気付いた人もいるのでは。
3月21日に発表された共同通信のアンケート結果によると、学生らから「給与が大幅に違った」といった、求人と実際の労働条件との食い違いに関する相談が、全国の国立大学86校のうち11校で寄せられていたことがわかった。ハローワークなどでもこうした求人詐欺が相次いで確認されており、国による実態調査や法規制が必要な事態に陥っている。
近年では、非正規社員が被害者となる”ブラックバイト”も問題視されている。生計が成り立たない賃金で使い捨てにされ、私生活が崩壊するケースもあるという。
こうした問題に直面した時、どこに相談すべきだろうか。会社に直訴したり、会社が常設する相談窓口に申し出たところで、求人詐欺を行い、社員をぼろ雑巾のように使う企業がまともに取り合ってくれるとは思えない。万一の事態に備えて外部の相談機関のメリットとデメリットを知り、周囲に困っている人を見かけたら助言できるようにしたい。
まず、国が設置する労基署は有名だが、都道府県の労働相談窓口もある。行政が労使双方の間に入り、話し合いの場を設ける「あっせん」という制度で労働問題を解決できるが、あっせんには法的拘束力がないため、会社側に拒否されてしまったらおしまいだ。
次に、ユニオン(労働組合)の存在にも触れておきたい。労働組合法上の特別な権利を持ち、個別の労働問題を解決する法的能力がある。また、法律のプロである弁護士も相談相手として適任だ。だが、ユニオンも弁護士も、解決能力に差がある上に、企業に雇われている弁護士や企業の中のユニオンの場合は、問題が解決せず悪化する可能性もある。
いずれの相談窓口も一長一短だが、過重労働などで心身を壊してしまってからでは、弁護士などに相談しようにも行動に移すこと自体が難しくなる。相談するだけでも気持ちが楽になることもあるため、一人で頑張ろうと背負いすぎないことが大切である。(編集担当:久保田雄城)